『賢者の戦略~生き残るためのインテリジェンス』(手嶋龍一・佐藤優、新潮新書:2014、12、20第1刷・2014、12、25第2刷)
「インテリジェンス」の専門家の二人による対談の第3弾。もう3年前に出た本だが、勉強になる。少し時間が経っている事から、現在から見ると「予言の書」的な部分も。
「21世紀の火薬庫・ウクライナ」をどう扱うか、また「イスラム国」の脅威とは?東アジアの北朝鮮・中国と日本とアメリカの関係、さらには「集団的自衛権」を巡って安倍首相の抱えるトラウマにまで言及している。
「ほほう、そうだったのか!」と思った所のページを折っていったら、ほぼ全ページ、折ってしまったよ。
*「オバマの変節に怒りをたぎらせたのはイスラエル」(83ページ)
*サウジのバンダル王子は、ワシントンのジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号を取り、サウジ空軍でパイロットという経歴。1983年から2005年までサウジの駐米大使を務めた。その後、総合情報庁長官に。オバマ政権は、アサド政権への武力行使を見送ったことで、この要人を怒らせてしまった。(83~85ページ)
*「パキスタン・サウジアラビア秘密協定」=イランに核兵器があることが確認されたらば、可及的速やかにパキスタンにある核弾頭のいくつかをサウジアラビア領域内に移転するというもの。(87ページ)
*安倍晋三という政治家は、一貫して「戦後レジームからの脱却」をスローガンにしているが、これがレトリックでなく本気であるならば、相当な危険思想と言わざるを得ない。その意味するところが「ポツダム宣言受諾」「ミズーリ号上での降伏文書調印」「日本国憲法成立」「サンフランシスコ平和条約の締結」という戦後の一連のプロセスを反故にすることを意味するなら、アメリカならずとも聞き流すわけにはいかない。(143~144ページ)
などなど、もうこれ以上書くと、全ページ引き写すことになるからやめておきます。