新・読書日記 2017_043
『下山の時代を生きる』(鈴木孝夫・平田オリザ、平凡社新書:2017、4、14)
何が驚いたって、鈴木孝夫先生が、もう90歳を過ぎてなお矍鑠(かくしゃく)とお元気であるということだ。二人による対談。平田オリザさんは私と同い年。鈴木先生とは「親子」を越えて「祖父との対話」のような感じ。平田さんが学生時代に韓国に留学した際に、鈴木先生の著作をよく読んでいたそうで、「私淑」していたような感じ。平田さんの「オリザ」という名前が、「ラテン語」で「コメ」を表すというのは知らなかった。
鈴木先生の考え方は極端だが、方向性は間違っていないと思う。割と突っ走られる方のように思う。随分昔、出演依頼の電話を差し上げたことがあるが(断られた)、出演の話とは関係ない話を1時間近く話されたのを覚えている。ご自分の興味のあることに対するバイタリティーは、スゴい。
この本でも出て来るが、鈴木先生が書かれた「虹の色・太陽の色の表現は、国によって違う」ということは、当時(20年ぐらい前)まさに「目からウロコ」だった。これは文化の大切さ、国際交流のスタート点である「みんな違うんだということを認めることが大事だ」という話。「鎖国」をしながらもお互いの国・国民の良さを認めるという、一見、ハチャメチャな事を言っているようにも思うが、面白い対談集だ。
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