新・ことば事情
6304「丁子麩」
先日、実家の父が京都の錦市場に行った時に買って来たという「麩」をもらいました。滋賀・近江八幡名物の、
「丁子麩」
です。これは、
「チョージフ」
と読みます。名前の由来は、当時の近江八幡の城主・豊臣秀次が、天守閣から見た城下町の町並みの美しさを見て、
「兵糧に欠かせない麩は形が丸いのでかさばる。携帯しやすいように、町並みのように角形にしよう」
と思いついたそうです。そして「丁字麩」の両面に入っている「線」は「街の小路」を示すもので、そこから「丁子麩」の名があるのだそうです。
そう言えば「植物の名前」にも、
「丁子(チョージ)」
がありますね。つぼみの形が「丁」の字状になっているので、この名があるようです。
それで思い出したのが
「丁字路」
です。こちらは、
「テイジロ」
と読みます。最近はアルファベットの「T」を使って、
「T(ティー)字路」
とされることが多いですが。
話がそれた。要は、「丁」と書いて「チョー」と読むのか?「テイ」と読むのか?両方ある、という話です。
「テイ」 =漢音
「チョー」=呉音
ということで、「呉音」の「チョー」のほうが古いのですね。
もしかしたら、「麩」はお寺でもよく食されていて(精進料理で)、
「お寺=仏教」
と言えば「呉音」ですから、「チョー」なのかもしれません。
「丁字路」については「平成ことば事情269丁字路」「平成ことば事情6164丁字路か?T字路か?」に書きましたので、併せてお読みください。