新・ことば事情
6289「けがをした人はいませんでした」
「けが人」は「いませんでした」か?「ありませんでした」か?という問題は、もうほとんど、「ありませんでした」から、
「いませんでした」
に、完全に取って代わられているようです。
以前、その変化について書きましたが(平成ことば事情3234「けが人はいない?ない?」、平成ことば事情3838「けが人は『ありません』か?『いません』か?」、平成ことば事情6018「けが人はいない?ありません?」)今回、2017年4月10日のNHKの正午のニュースを見ていたら、こんなことに気付きました。
スーパーは、
「けが人なし」
でしたが、ナレーションは、
「けがをした人は、いませんでした」
だったのです。なるほど、
「けが人」
とするから「いる・いない」「あり・なし」問題が生じるのであって、
「けがをした人」
にすれば「いる・いない」でも、不自然感は薄れますね。
こんな手があったのか!
またこの「いませんでした」「ありませんでした」に気持ちが留まっていると、気になるもので、翌日のABC朝日放送のお昼のニュースでは、大阪の能勢電鉄が土砂崩れで止まったというニュースで、女性アナウウンサーが、
「けが人はありませんでした」
と、私としては久々に「ありませんでした」を耳にした気がしました。
スーパーは、
「けが人なし」
でした。