Top

『道浦TIME』

新・読書日記 2017_030

『ネットメディア覇権戦争~偽ニュースはなぜ生まれたか』(藤代裕之、光文社新書:2017、1、20)

サブタイトルの「偽ニュースはなぜ生まれたか」に惹かれた。今年に入ってからすでに「流行語」というよりもう定着してきている「フェイク(偽)ニュース」が「なぜ生まれたか」について書かれている。そもそも「ネットメディア」の台頭はこの10年ほどであるが、その中で「ヤフートピックス」の存在、またそこから生まれるニュースと、「コンテンツ提供者としての既存メディア」の関係などについて最新事情が記されているので、ネット事情にうとい私にとっては大変勉強になった。

トランプ新大統領の顧問で「影の大統領」とも呼ばれ悪評の高いスティーブ・バノン氏が会長を務めた保守系ニュースサイト「ブライトバート」。そこに出資していた食品大手・ケロッグや、医薬品大手のノボテルディスク(デンマーク)、大手運用会社のバンガード・グループなどが、トランプ支持者からのボイコット運動を受けていることなどを理由に、撤退を表明しているそうだ。

日本でも、テレビ朝日がサイバーエージェントと共同出資したインターネットテレビ局AbemaTVで、ヘイトスピーチで問題になった在特会の元会長・桜井誠氏の個人チャンネルに、家庭用品メーカーのユニリーバの広告が流れたことで、ユニリーバ・ジャパンが謝罪する事態となったという。動画への広告は機械的に配信されてしまうので、これまでは「仕方がない」で済まされていたものが、今後は「そういうわけにはいかなくなった」という実例だ。

なんだか世の中、生きづらく、不寛容に、悪くなってきているのではないかなあ・・・と読んでいて、気持ちが暗くなってしまいました・・・。


star4

(2017、2、20読了)

2017年3月 9日 11:41 | コメント (0)