新・読書日記 2017_031
『ルポ 出所者の現実』(斎藤充功、平凡社新書:2010、11、15)
知り合いにはいない「出所者」=「刑務所から出て来た人」。そういった「出所者」の現実を取材したもの。
最近「ルポ」(ルポルタージュ)という言葉に接することもあんまりない。どちらかというと、接することが多いのは映像だと「ドキュメント」(ドキュメンタリー)ですね。その「文字版」だと「ルポ」かな。
刑務所から出て「真っ当な人生」を歩もうと思っても、仕事が無い・お金が無い・住む所が無い。そして仕方なく、また犯罪に手を染めてしまい、刑務所に舞い戻る。そういった人たちも後を絶たない。一度失った「自らの生きる道」を取り戻すのは、大変険しい道なのである。
それを防ぐためには、「個人」に任せっきりにするのではなく、「社会」が手助けをしていかなくてはならないのではないか?"我々の社会"を守るためには、そういった人々たちの「更生」をしっかりとさせるセーフティ・ネットがないといけないのではないか。もちろん、根源的には犯罪をする人が悪いのだが、こと「出所者」に限ると、「次の犯罪への道」が、他の人たちよりも容易というか、そこへ向かう"近道"が敷かせているのではないか?と思わざるを得ない部分もある。よほど、助けてくれる近親者がいないと、更生が難しい。
本書を読めば、そういった問題点が浮き彫りになる。
なお、おそらく「目次」は著者が「更生」・・・ではなく「校正」していないのではないか?本文では一度もない誤植が2か所あった。「目次」の「第四章 出所者のセーフティ・ネットワーク」で、
×「1 福島自立更正促進センター」→○「1 福島自立更生促進センター」
×「2 北九州自立更正促進センター」→○「2 北九州自立更生促進センター」
「更生」ももちろん大事だが「校正」も大事だ。最初から間違っていると、その後の本文の内容への信用性が落ちる。