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『道浦TIME』

新・読書日記 2017_022

『下り坂をそろそろ下る』(平田オリザ、講談社現代新書:2016、4、20第1刷・2016、6、13第5刷)

平田オリザさんって、なんとなく好きになれないんだけど(根拠もなく。しゃべり方かな?)、これはタイトルに惹かれてかな、なんか買ってしまいました。薦める人もいたので。読みかけて、またしばらく読まなかったんだけど、この前、北海道に3泊4日で行った時に「この際!」と思って持って行き、飛行機の中で読みました。

この間、「みんな平等に貧乏に」と言って叩かれた女性の学者さんがいたが、この本のタイトルの「下り坂」というのも「人口が縮小していく日本」のことを指しています。そんな中で、「貧乏に」というのではなく「貧しくても心豊かに」というか「貧しくならない工夫」というか、地方からやっていくからこそ、できることの提案を、平田さんが関わって具体的に既に行っているプロジェクトなどを紹介しているのだ。

中でも「ホホウこれは」と思ったのは、第二章に書かれていた「コウノトリの郷~但馬・豊岡」。ここで「アーティストのいる街」「小さな世界都市」を目指す試みを実践している話が出ていて、これなんか面白そうだなと。行ってみたいな、と。近畿地方の話なのに、全然知らなかった。

伝統文化を守るだけでなく、新しい文化・芸術を"呼び込んで"作っていくことで、街を活性化させる試みは面白そうだ。

「終章」のタイトルは「寛容と包摂の社会へ」。

トランプ大統領の登場で、世界的規模で定着したかに見える「不寛容(イントレランス)の世界」への抗議の姿勢を、このような形で行っていくこともあるのだなと思った。


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(2017、2、19読了)

2017年3月 3日 10:32 | コメント (0)