新・ことば事情
6258「泣きべそ、ばけべそ」
出勤途中に、ふと思いました。
「『なきべそ』の『べそ』は、『顔』の意味の『面相』が訛ったのではないか?」
たぶん・・・きっとそうだ!
『広辞苑』で「べそ」を引くと、
「子供などの泣き顔」
とありました。やっぱり「顔」なのは間違いない。『精選版日本国語大辞典』には、
「子どもなどが口をゆがめて泣き顔をすること。またその顔」
とありました。
そもそも何で私がこんなことを考えたかと言うと、通勤の時に前を歩いていた女性の後ろ姿を見て、
「もし、前に回って顔を見たら、『ばけべそ』だったりして・・・」
という失礼なことを考えたからでした。
「ばけべそ」
という言葉は、もちろん「俗語」で「死語」かもしれませんが、
「化け物のような顔」
という意味ですよね。これは「国語辞典」に載っているのか?『広辞苑』と『精選版日本本国語辞典』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』には、載ってないなあ。
ネット検索(グーグル)では(2月15日)、
「ばけべそ」=3万1900件
出て来ました。トップに出てきた、
http://blogs.yahoo.co.jp/denjiro_jp/19931663.html
のサイトによると、『江戸の女気質』(三田村鳶魚)に、
『奥様以下――即ち大名の妻以下を見る。女房の称呼も随分いろいろあって、御新造、御上《おかみ》さん、カカア、山の神、下歯《したぱ》、化臍《ばけべそ》という風に、沢山の種類に分れて居りますが』
とあるそうで、
『この記述に依拠すれば、化けた臍(へそ)である。「ばけべそ」の意味が「江戸時代、下級武士が自分の妻のことを卑下(ひげ)して、こう呼んだ」とあるから、「へそ」が化粧したような不細工な顔をしている妻という意味から卑下に通じるのだろうか。』
と書かれています。
「江戸言葉」のようですね。私も「ばけべそ」は「江戸落語」で耳にしたような気がします。
「めんそう→べそ」
に訛って変わったということはないのかなあ。