新・読書日記 2017_020
『大統領の演説』(パトリック・ハーラン、角川新書:2016、7、10)
去年の7月に出た本。大統領選挙の共和党・民主党の候補は、トランプとヒラリー・クリントンに決まったという時点。まさか、その4か月後に、本当にトランプが勝って「大統領」になる(なってしまう)とは、著者のパックンことパトリック・ハーランも、思ってもみなかっただろう。しかしトランプの、それまでの既成の政治家にはないスピーチ内容や人気というものには、十分脅威は感じていたと思う。
歴史的に見て「大統領」の演説というのはどうであったか、またどうあるべきかというようなことを、丹念に歴史を振り返って記している労作。
最後の方に、「トランプ」がいかにウソを付くか、つまり大統領の資質を持っていないかについても触れている。
そしてそれと対照的に、あまり評価されない大統領となった「オバマ」だが、その演説の巧みさ、歴史的に見ても含蓄のある良い演説をしばしば行ったことを、具体的な例を挙げて記している。最終章では「広島演説」も紹介している。確かにあれは、歴史に残る演説であったと思う。
アメリカという国を引っ張ってきた「大統領の演説の力」というものが、よくわかる一冊。これを読むと、トランプが大統領としては、やっていけないのではないかと思わざるを得ないのだが・・・。
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