新・読書日記 2017_015
『孕むことば』(鴻巣友季子、マガジンハウス:2008、5、22)
「孕」は「はらむ」と読む。常用漢字ではありません。著者は翻訳家でエッセイスト。エッセイは面白い(勉強になる)ので、何冊か読んだことがあるが、この本は、大分前に出ていたのに知らなかった。たまたま、会社の近くで開かれていた「古本市」で見かけて、即買いました。新刊だったら1500円のところ所が300円です。鴻巣さん、すみません。中身は1500円分あります。
あまり子どもが好きではない著者が、40歳を前にして念願の『嵐が丘』の新訳の大仕事を取り、(年齢的に)子どもを産むことを諦める覚悟をしたところ、なぜか仕事をした後に結婚して子どもも産んでしまうという事態に。
そこで、「子育てと仕事をタテ糸・ヨコ糸に絡めたエッセイを書いてくれませんか?」という編集者の依頼に応え雑誌の連載をまとめた一冊です。
ということで、お子さん(娘)の成長の過程が出てきて、その娘の「ことば」を「翻訳」しながら、自らの「翻訳の仕事」についても考えを巡らせるというような、大変オトナな、それでいて「母」としての気持ちを記した「育児日記」の一種だと考えられる。
私も(男だけど)育児には少しは携わったので、昔を思い出し、現在を重ね合わせながら、楽しく読むことができました。「子育て」は「親育て」なんだよね。そして「教えること」は「学ぶこと」です!
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