新・読書日記 2017_011
『それでもこの世は悪くなかった』(佐藤愛子、文春新書:2017、1、20)
著者は大正12年(1923年)生まれの93歳。関東大震災の年に生まれたんだな。
元気なおばあさんで、このところ立て続けに本を出している。もう「遺言」のつもりなんでしょうね。でも、本当に元気!「イノシシ年」生まれなので「猪突猛進」ですなー。
93年生きてきたこの作家の「初めての語りおろし」。もう、搾れるだけ、思い出を搾り取ってやれ!という感じが。でも確かに「今のうちに」という気はしますよね。有益なお話が聞けると思うからこそ。
著者は作家・佐藤紅緑の娘だというのは知っていたが、紅緑が若い頃「陸羯南(くが・かつなん)の書生をしていたというのは知らなかったし、改めて言われて気付いたのは、詩人の「サトー・ハチロー」が著者(愛子)の兄に当たるということ。そ、そうだったのか。言われてみれば・・・。後半に出て来る、作家の人たちとの交流も、今こうやって書き残しておかないと、もうわからなくなっちゃうしね。貴重な一冊です。
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