新・ことば事情
6246「嘔気」
1月の中旬、生まれて初めて「ノロウイルス」にやられました。
「平成ことば事情6245おろしてくださいますか」で書いた通りです。
その「ノロウイルス検査」をして、結果を先生に聴きに行くときのこと。
検査を担当したベテラン女性看護師ではない、若い女性看護師さんが、診察室まで案内してくれました。その際にその看護師さんが、こう聞いて来ました。
「オウキは、ないですか?」
「はい?」
「おおきに、ありがとう」
ではないことは確かです。
何を聞かれたのか分からなかったので、聞き返しました。すると、
「オウキ。吐き気は、ないですか?」
ああ、「オウキ=吐き気」。つまり、
「嘔気」
と書く言葉であることが、想像つきました。「嘔吐(おうと)」の「嘔」の「気配」ということですね。「嘔吐」って「嘔」も「吐」も、「吐く」という意味なのか。
医療現場では普通に使われている言葉なのかもしれませんが、初めて耳にする言葉でした。
帰ってから国語辞典を引いてみると、『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』『現代国語例解辞典』には載っていませんでしたが、『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』には、ちゃんと載っていました、「嘔気」。