新・ことば事情
6241「後手に回った」
将棋の三浦九段が、スマホなどコンピューターソフトを使ったカンニングをしていたのではないかと疑われたものの、「無罪」となった件で、1月18日、「日本(にほん)将棋協会」の谷川浩司会長が、責任を取って辞意を表明しました。
1月18日のNHK夜7時のニュースで、そのリポートしていた記者が、
「将棋連盟の対応が後手に回った」
と言っているのを聞いて、不謹慎ながら吹き出してしまいました。
というのも、
「後手に回る」
というのは、
「対応が遅れた」
という意味の比喩表現ですが、そもそも「後手」は、
「将棋(囲碁)用語」
です。つまり、
「将棋界のニュースに将棋用語の比喩用語を使うことの可笑(おか)しさ」
を感じたのです。
他の例で思い出すのは、マラソン選手について、
「○○選手が駆け出しのランナーだった頃」
というのもがありましたね。(平成ことば事情666「駆け出しのランナー」=ハヌーシ選手でした。2001年、もう15年も前の話。)
「後手に回る」の反対語は、もちろん、
「先手を取る」「先手を打つ」
ですね。これも、もちろん「将棋用語」です。