新・ことば事情
6236「脳出血と脳溢血」
去年12月19日の「ミヤネ屋」で吉本新喜劇の島木譲二さんが亡くなったニュースで、島木さんの死因について、吉本興業のファクスには、
「脳溢血(いっけつ)」
と記されていました。
『広辞苑』で「脳溢血(いっけつ)」を引くと、
「『脳出血』を見よ」
となっていて、意味上は「同じ」ようです。どちらかというと、「脳溢血」のほうが「古い言葉」のようですね。
そもそも「溢」が「表外字(=常用漢字ではない)」なので、ニュース放送で使うならば、
「ルビを振る」
ことになります。
『新聞用語集2007年版』でも、
「のういっけつ(脳溢血)→(学)脳出血」
と書かれていて、「文部科学省が定めた学術用語」では「脳出血」とすることが記されていましたので、今回「ミヤネ屋」では
「脳出血」
を使いました。
年があけて1月17日、映画「ションベン・ライダー」で1983年にデビューした、女優の河合美智子さんが、
「脳出血」
で去年夏から入院していて今年1月10日に退院したということを、その日の会見で述べていました。これは発表も「脳出血」で、「ミヤネ屋」でも、
「脳出血」
で放送しました。翌日(18日)の日本テレビ『スッキリ!!』でも、このニュースをやっていて、そこでは、脳の血管の「三大疾患」である、
「脳梗塞」「脳出血(=脳内出血)」「くも膜下出血」
は、総称して、
「脳卒中」
と呼ばれるという解説をしていて、「脳出血」を使っていました。