新・読書日記 2016_198
『ビジネスエリートの新論語』(司馬遼太郎、文春新書:2016、12、10)
結構、話題の本みたい。若き日の産経新聞記者・司馬遼太郎こと福田定一が書いたものが、20年ぶりに新刊として新書で出たと。
読みやすいです。司馬遼太郎は、最初から産経新聞の大阪に勤めていたと思ったら、違うんだね。復員してきて、大阪・鶴橋で、就職するためにまずは「靴」を買おうと思っていて、たまたま見かけた「記者募集」の張り紙で、一緒にそれを見つけた男と共にその小さな新聞社に面接に行く。「もう募集は締め切った」というところを、その一緒に受けに行った男のせいで(?)強引に面接してもらって受かってしまう。その後も、いくつかの新聞社を渡り歩いているのだ。そこで知り合ったというか、先輩だった2人の「老記者」、味わい深いですね。もう、こんな人はいません。こんな人は「今の会社」では、生きていけないです。当時でも、ギリギリだったのじゃないかな。でも司馬遼太郎は、強烈なインパクトを持って、その人たちのことを覚えている。「人間性」というものでしょうな。
それとやはりいろんな意味で、これが書かれた当時(昭和30年==1955年)とは、もう全然「時代が違う」ということを感じざるを得ないなあと思い、歴史の勉強をさせてもらった気がしました。
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