新・読書日記 2016_193
『属国民主議論~この支配からいつ卒業できるのか』(白井聡・内田樹、東洋経済新報社:2016、7、21)
1950年生まれ、60代半ばの内田と、1977年生まれでまだ30代の白井。ちょうど「親子」ほど年の離れた二人の対談。内田樹いわく「こんなに若いのに、なぜか話がピッタリと合うのが不思議」と。
かなり、「勉強」をしただけでなく、実際「内田の時代の空気」を嗅いでいる感じのする若き論客。メインのしゃべり手は白井で、内田は「聞き手」として話を支えて行く感じで、他の内田の対談や著書とは、雰囲気が違う。
「永続敗戦レジーム」で一躍名をはせた白井だが、『永続敗戦レジーム』というのは、つまり「属国民主主義」なのであると。帯には、
『「コスパ化」「消費者化」「数値化」「幼児化」「階級化」をキーワードに徹底徹討議!』
とある。興味深い。
白井は、「安倍・橋下の政治手法にはファシズム的な共通点がある。それは『人々の悪感情に依拠する政治』だ。政治に求められる本来の役割は、悪い感情が大きくならないよう、できるかぎり対処する事だと思うが、自らが権力を持つために、人々の悪い感情を血用紙、増幅しようとするのがファシズムだ」
なんか、「トランプ氏」のことを指しているのかと思った。
世界中がそんな方向に向かっている。「トランプ菌」に感染するとみんな「下品」になり、「周囲の人間のことを思いやらない、自分本位の言葉」を遠慮なく吐きまくるようになる。WHO(世界保健機関)は、この菌の「パンデミック」を防がないといけないのではないか。もう、手遅れか?
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