新・ことば事情
6216「根治はコンチか?コンジか?」
10月3日の「ミヤネ屋」で、
「根治手術」
という言葉が出て来て、この「根治」を林マオアナウンサーが、
「こんじ」
と読みました。それを聞いて、
「あれ?『こんち』じゃないの?」
と思って『NHK日本語発音アクセント進辞典』を引くと、
「コンジ」
で載っていました。
どっちなの?ということで、12月2日の新聞用語懇談会放送分科会で、議題として出しました。
『「根治」の読み方は、「NHK日本語発音アクセント新辞典」では、先に「コンチ」、2番目に「コンジ」を載せている。旧版には見出しそのものがなかった。私が調べた国語辞典での「コンチ」「コンジ」の「見出し」は以下の通り(○=見出しあり、×=見出しなし、「空」=空見出し)。今後は「コンチ」>「コンジ」に統一されると考えていいのか。
<コンチ><コンジ>
「NHKアクセント新」(2016年)○ 空
「三省堂国語・7版」(2014年) ○ 空
「新明解国語・7版」(2012年) ○ 空
「岩波国語・7版」(2009年) ○ 空
「精選版日国」 空 ○
「デジタル大辞泉」 空 ○
「広辞苑・6版」(2008年) 空 ○
「明鏡国語・2版」(2010年) 空 ○
「大辞林・3版」(2006年) 空 ○
「日本語大辞典」(1989年) 空 ○
「旺文社標準国語」 × ○
「新潮現代国語・2版」(2000年)× ○
「新明解アクセント」(2010年) × ○
「NHKアクセント」(1998年) × ×
これに関して、この日出席されていた、NHK放送文化研究所の塩田雄大主任研究員から、以下のような回答が得られました。
『昔は「コンジ」しか読みがなかった。その後NHKの用語委員会で「コンチ」も認めて、
-
コンジ②コンチ」
となり、今回は順番が変わって、
-
コンチ②コンジ」
になった。「全治」「難治」なども「ゼンチ」「ナンチ」と、「治」を「チ」と読むもの多いので、今後は「コンチ」がもっと増えて行くだろう。』
ということでした。