新・ことば事情
6213「リアス式海岸」
11月27日放送の日本テレビ「ザ!鉄腕!!ダッシュ!!!」で、長崎の五島列島・福江市で伊勢エビを取るロケをしていました。その際のナレーションで、
「島全体が、溶岩で出来たギザギザの"リアス式海岸"」
というのがありました。この、
「リアス式海岸」
という呼び方、大変なじみがありますが、実は少し前から「式」を取って、
「リアス海岸」
と呼ばれているそうなのです。
2年半前(2014年6月)の新聞用語懇談会・放送分科会で、関西テレビの委員から、こんな質問(議題)が出ました。
「リアス海岸(リアス式海岸)、縄文土器(縄文式土器)、高床倉庫(高床式倉庫)、いずれも数年前(1996年頃から)の教科書から表記が変わっているようです。各社対応はどのようにされているでしょうか?」
これに対しての各社の回答は、
(共同通信)「縄文土器」「弥生土器」に決めている。「縄文土器」には、その下のカテゴリーに「○○式」というのがあり、ややこしいので変更されたようだ。「高床」は決めていない。「ハンドブック」の「外来語表記」では「リアス式」になっている。
(朝日放送)「竪穴式住居」も最近は「竪穴住居」になっていると聞いたが。
(毎日放送)子どもの小・中学校の教科書では、そうなっている。
(NHK)気候区分の「亜寒帯」もなくなっている。『NHK日本語発音アクセント辞典』では「リアス式海岸」になっているが、変更を検討中。
(関西テレビ)「式」が付かなくても意味は通じるが、リードと本文で違う用語が出たりしないようにしたい。
一昨年の時点では、NHKは「アクセント辞典での変更を検討中」」ということでしたが、ことし5月に出た『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみたら、
「リアス海岸」
を見出しに変更していました。そして、
(「リアス式海岸」とも)
とも、記されていて、それぞれのアクセントも載っていました。
その後、会議の議題に上がったことはないんですが、まだ変わっていない部分もあるんでしょうね。