新・読書日記 2016_171
『さらば白人国家アメリカ』(町山智浩、講談社:2016、10、28)
「週刊文春」の連載でおなじみの映画評論家・コラムニストの町山さんのウェブマガジンで2015年12月~2016年8月までに書いたものなどを本にまとめた物。ということで、私は初見です。週刊誌連載よりも「真面目」な内容。おちゃらけ度は、低し。
アメリカ大統領選にターゲットを絞って、各候補者について書かれている。アメリカの状況がよく分かる。
タイトルにもあるように、今「白人」の比率がどんどん減って来ている。かといって「黒人」がすごく増えているわけではない。そう、やはり「ヒスパニック」が物凄い勢いで増えて来ているようなのだ。専門家の分析では、「白人」の支持を受けている共和党からは、今後大統領は出ないと言う。
町山さんの分析も基本はそうで、好きか嫌いかは別にして、今回の大統領選挙も、ヒラリー・クリントンが勝つという予想に思える。
そもそも、共和党内の予備選でもトランプが勝つとは・・・という感じだったが、共和党内でも有力候補がいなかった。いや、いたんだけど、どんどんこけて行った(自滅)。大した候補ではなかった。それで共和党はトランプに乗っ取られてしまった。
そのトランプが共和党の代表に決まった後の8月上旬に、選対本部長が辞任した。ロシアのロビイストに金を渡していたという疑惑。
そんなギリギリに!こりゃもうトランプは駄目だなと誰もが思うであろう。そこで選対本部長になったのが、「デマゴーク・メディア「ブライトバート」を率いる「スティーブン・バノン」。
で、トランプは次期大統領になっちゃった。そして結局この人、そのまま戦略部長か何かで次期大統領スタッフに残ってしまった!本当に大丈夫なんだろうか?
暴言は影を一瞬ひそめているが、根っこが大変な人たちだなあと。アメリカの、ひいては世界の、前途多難さを思わせられる一冊。