新・読書日記 2016_170
『アメリカ政治の壁~利益と理念の狭間で』(渡辺将人、岩波新書:2016、8、30)
アメリカ大統領選挙を前に「共和党」と「民主党」という二大政党は、一体何なのか?
それをはっきりと述べた一冊。それはつまり、サブタイトルにあるように「利益」と「理念」であるという。元々は「小さな政府」「キリスト教の道徳」という「理念」を掲げて来た「共和党」が曲がり角に来ていて、同時に「大きな政府」で雇用を創出し、世俗的な利益を求めて来た「民主党」もまた曲がり角に来ていて、ある意味「ねじれ」が生じている状態だと。それはしかし過去にも起こったことだと。いつまでも「利益」と「理念」はそれぞれの党にこびりついているわけではないということが、よく分かった。
「カトリック」の理念と「プロテスタント」の理念も、特に「中絶」問題を巡っては対立するし、自由な貿易と保護貿易も対立するが、そういった視点で、共和党と民主党に真っ二つに分けられるわけでもない。詳しくは、本書を読んでください。
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