新・ことば事情
6205「まるっと」
『校閲ガール ア・ラ・モード』(宮木あや子、角川書店)を読んでいたら、
「添削依頼をまるっと忘れて」(74ページ)
という表現が出て来ました。
また、11月17日に近鉄電車の中で見た「大阪・海遊館」の吊り広告のコピーにも、
「地球をまるっと大冒険」
というように、
「まるっと」
という言葉が出て来ました。この「まるっと」は、ご想像のとおり、
「まるごと」
の意味ですね。私が初めてこの言葉を耳にしたのは、日本テレビの朝の番組『スッキリ!!』の中の新コーナーとして、
「まるっとスッキリ!!」
というのが出て来た時でした。(今は、「情報クリック」になっているみたいですが)。
「『まるっと』なんて言葉、聞いたことがないな」
と思ったものでしたが、このところ、広がりを見せているようですね。なんとなく、
「若者言葉」
のようにに感じますが。
グーグル検索(11月21日)では、
「まるっと」=920万件!!
えー!そんなに使われているの!
トップに出て来たのは「2007年12月14日」の「ヤフー知恵袋」で、
「『まるっと』って何ですか。」
という問い。それに対する答えは、
「全部、まるごとなんかの意味で使います。 岐阜で使われてますが、若い方は使わなくなってますね。 東海地方では一般的な方言です。」
というものでした。そうなんだ、元々は「東海地方の方言」なのか!さらに、
「テレビドラマ『トリック』において仲間由紀恵が使用していたことにより全国的に広まった。」
という記述も。その『トリック』の監督・堤幸彦氏が愛知県出身なんだそうです。見てなかったからなあ、『トリック』。知らなかった。
さらに全国的な広がりとしては、兵庫県・尼崎市の広報誌(季刊)のタイトルに、
「まるっとアマガサキ」
と使われているようです。
この手の言葉をいち早く取り入れる『三省堂国語辞典・第7版』を引いてみると・・・載っていました!2番目の意味で、
*「まるっと」=②まるごと。全部。(例)まるっとお伝えします
あ、これは「まるっとスッキリ!!」を見たから、入れたんじゃないかな?『三国』の「第7版」は「2014年1月」刊行ですから(実際は2013年の12月頃に出ている)、その頃に採用されたのではないかと想像しますが、その後も広がりを見せていますね。