新・ことば事情
6199「しかない」
行きつけのスペイン・バルに久々に行ったら、マスタ-が、
「道浦さんに言葉の質問をしようと、メモしておいたんですよ」
と言って、スマホにメモした「その言葉」の質問をしてきました
「子どもを虐待した事件か何かに対する、ツイッターのコメントで『責任は親にしかない』というのを見たんですけど、これって意味は『責任は親に"ある"』ということですよね。それなのに"ない"という表現は何でなんでしょうか?」
というものでした。あ、なるほど。
問題は「しか」ですよね。これは「強調」の言葉で、しかも
「しか~ない」
という「呼応」の形がありますね。例えば、
「ここにしかない」
というのは「ある」。「ない」と言いながら「ある」ということですね。「ある」ことの強調ですが、その「ある」というのは、
「ここだけに"ある"」
ということで、
「他には"ない"」
ということです。そんなこと、普段は考えずに話していますが。
考え出すと、言葉って難しいですねえ。