新・ことば事情
6201「掛け声の『だいとうりょう』」
アメリカ大統領選挙、思いもかけず、トランプ氏の勝利。これからどうなるんでしょうかね・・・。
ところで、よく掛け声で、
「ヨッ、だいとうりょう!」
というのを耳にしますが、この「だいとうりょう」は漢字で書くと、何の抵抗もなく、
「大統領」
と思っていましたが、いつの頃からか、
「『江戸時代』にも、この掛け声はあったのか?それとも、アメリカと交渉を持つようになった『幕末から明治にかけて』生まれたものなのか?」
ということが気になっていました。そして先日、ふと、
「もしかしたら『大統領』ではなく、『大棟梁』もしくは『大頭領』ではないか?」
と思ったのです。
そこで、歌舞伎に詳しい作家の中川右介さんに伺ってみました。するとこんな答えが。
「いえ、『大統領』です。二代目・市川左團次に対する掛け声が起源です。」
そうだったのか!
調べてみるとその「二代目・市川左團次」という人は、1884年(明治17年)生まれで1940年(昭和15年)死去。55歳か。「明治・大正・昭和」ということは「大統領」という言葉も、もう普通に使われていた時代でしょうね。
しかもこのも人は、1906年(明治39年)にはヨーロッパへ9か月間も視察旅行にも行き、1928年(昭和3年)には、史上初の歌舞伎海外公演を「ソ連」で行ったといいます。
そういった「海外通」のところも「大統領!」という掛け声を掛けられるようになった一因なのかもしれませんね。