新・ことば事情
6184「ニッポンゴ」
「日本語」
と書かれた漢字を読むときに、皆さんは、
「ニホンゴ」「ニッポンゴ」
どちらで言いますか?「日本」というのは「ニホン」「ニッポン」両方の読み方があるのは知っています。その中で、一般的には「日本語」は、
「ニホンゴ」
と読むのではないでしょうか?
ところが!先月「網膜剥離」で入院していた時に聞いた落語のCDで、立て続けに、
「ニッポンゴ」
という読み方で話しているのを聞いたのです。それは、
1957年(昭和32年)1月27日のNHKラジオ第一「ラジオ寄席」で放送された、柳家金語楼「きゃいのう」で、
「昔は『俳優』とは言わずに『役者』と言った」
というような「まくら」の中で、金語楼が、
「ニッポンゴ」
と言っていました。
また、1975年(昭和50年)頃に、二代目・桂小南が「いかけ屋」で、
「お前、ニッポンゴわからんのか」
と言っていました。
そして、同じ小南が、1985年(昭和60年)12月18日TBSラジオで放送された「しじみ売り」で、「日本人」を、
「ニッポンジンぐらいお祭り好きは、いないそうですな」。
と言っていました。まあ「日本人」は「ニッポンジン」「ニホンジン」、両方同じぐらい、言う人がいるような気がしますが。
以前、石黒修さんという方の本で、
『ニッポン語の散歩』(角川書店)
と、カタカナで「ニッポン(語)」と書かれた本を古本屋で見つけて購入し、読みましたが、この本が出たのは、
「1960年(昭和35年)」
でした。ということは、もしかしたら、
「この時代には『ニッポンゴ』という言い方が、ごく一般的だったのではないか?」
ということかもしれませんね。