新・ことば事情
6181「『ござりまする』のイ音便」
歌舞伎の「中村橋之助」が「中村芝翫(しかん)」を襲名したニュースを見ていたら、
「ござりまする」
という言葉が出て来ました。それを聞いて「あっ!」と思いました。
というのは、これは普通、現代では、
「ございます」
というところ。つまり、
「『ございます』は『ござります(る)』の『イ音便』である」
ということに気が付いたのです。
「音便」の中では、「ありがとう」「おめでとう」「おはよう」のような、
「ウ音便」
は、全くそれが音便であるとは意識せずに「ひとつの慣用句」として使っていますね。たまに、
「危のうございます」
のような形に接して、
「あ!丁寧な『ウ音便』だな」
と思う程度です。さらに「イ音便」って「ウ音便」以上に意識しないなあ、と。あまりないのかな。
辞書を引くと、現代語で使っているものとしては、
「書きて」→「書いて」
「次ぎて」→「次いで」
ぐらいしか出ていなかったですが、既に「『イ音便』が当たり前」になっているということでしょうね。