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『道浦TIME』

新・読書日記 2016_146

『職業としての小説家』(村上春樹、新潮文庫:2016、10、1)

タイトルは、マックス・ウェーバーの『職魚としての学問』『職業としての政治』を、彷彿させますね。

ここ数年の恒例行事で、ことしも「ノーベル文学賞、受賞か?」と日本中の(?)期待をかけられた村上春樹だが、10月13日の当日、フタを開けたらなんと「ボブ・ディラン」という意表を衝いた発表及び、全く音沙汰のない本人という騒ぎの中で、村上春樹はあまり話題に上らなくなったのだが、ちょうど狙ったかのように10月1日にこの文庫本が出ました。(もちろん、タイミングを狙ったのでしょう。)発表までに読み切ろうと思ったが、読み切れませんでした。まるで講演会の口述筆記のような文体で、ある意味読みやすいのですが、12回に分けたテーマについて書かれています。

なぜ小説家になったのか、どのようにしてなったのか、など「自伝的要素」もふんだんに述べられて(書かれて)いますが、その「第三回」は、ズバリ「文学賞」について。「賞」で騒がれるのはイヤ!と率直に述べています。自分の読者の数は今現在、十分食べていけるだけいるので、「浮動票」を増やす賞はもう要らない、雑事が増えるから・・・というような感じに見受けられました。「上から目線」と言えば、そう言えるかもしれませんが、現に「上」の存在なんだし、「本人の率直な意見」なので、それに関してどうこうということは無いですね。

そして「第四回 オリジナリティーについて」の、音楽を引き合いに出して書いている中で、「ビートルズ」に次いでなんと「ボブ・ディラン」が出て来るのです!これは偶然?ノーベル文学賞とは、直接は関係ないですけど。興味深い一冊でした。


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(2016、10、21読了)

2016年10月27日 22:48 | コメント (0)