新・読書日記 2016_141
『怒り・上』(吉田修一、中央公論新社:2014、1、15)
読売新聞で2013年5月18日から10月19日まで連載されていた。新聞小説って、なんか読みにくいので当時は読んでいなかったが、単行本が出たときにタイトルに惹かれて上・下巻を一括購入したにも拘わらず、読んでいなかった。映画化を機に、映画を観る前に読もうと。
物語は、実際に起きた殺人事件を彷彿させる。殺人事件を犯した後に、顔を整形して1年以上逃げ回った挙句に捕まった、あの事件だ。内容は直接は、似ていないのだが。
それにしても『悪人』といい吉田修一の作品は、なぜ犯罪(殺人)を犯して逃げる話が多いのか。多くないのかも知れないが、私が読むのはそんなのが多い。
もしかしたら、人間の「原罪」と、「生きる」ということは一種の「逃避行」というようなことを、作者は考えているのかもしれないな、と。
なんかね、読み終わった後に「宗教的な」感じがするんですよ「人間の罪」とか、そういったものを感じるんです。
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