新・ことば事情
6172「降り続ける雨2」
2003年に書いた「平成ことば事情1314降り続ける雨」の続きです。
と言うか「引っかかった表現」として耳にしたので記録しておこうと。
「網膜剥離」で入院していた9月のとある夜(9月7日)、ラジオで「テレビの音声」を聞いていたら、日本テレビ「ニュースZERO」で、
「降り続ける雨」
と言っていましたが、これは正しくは、
「降り続く雨」
ではないか?と思ったのです。「続ける」は、
「主語に意志が必要」
ですが、「雨」に「意志」はありませんからね。「擬人化」する必要もない、不要でしょう。
この表現が気になったのは、同じ日のNHK「正午のニュース」で、男性アナウンサーが、最初は、
「降り続けていて」
と読んでから、
「降り続いていて」
と言い直したのを耳にしたからです。たぶん、原稿は「降り続けていて」になっていて、読んでしまってからアナウンサーが「おかしい」と思い、自らの判断で言い直したのでしょう。
やはり「降り続ける」は、「言葉の専門家」にとっては、
「気になる言葉」「おかしな表現」
だと思います。・・・でも「平成ことば事情1314降り続ける雨」には、『三省堂国語辞典』編纂者の飯間浩明さんから、
小説などを調べてみると、
●雨は小休(おやみ)なく降り続けていた。(有島武郎『カインの末裔』)
●しとしと降り続けている雨を(島崎藤村『夜明け前』)
●ほとんど二日間降り続けた(島木健作『生活の探求』)
●霙混(みぞれまじ)りの雨が降り続けた(獅子文六『娘と私』)
●雨は晴れ間も見せずにじとじとと降り続け(有吉佐和子『華岡清洲の妻』)
●夜、なおも雨が降り続ける時(大岡昇平『野火』)
●雪は降り続けていて(大庭みな子「雪」)
というふうに、昔の作品にも、結構、出てきたと書かれていますので、「言葉の専門家」も使うのか。
うーん、困った。