新・ことば事情
6160「ピンクい」
「ピンク」という色を表す外来語に関する話です。
この9月に網膜剥離の手術で3週間、入院していたのですが、その際に看護師さんの口から再三、飛び出したのが、
「ピンクい蓋の目薬」
でした。色を表す形容詞には、
「赤い」「青い」「黒い」「白い」
に加えて、
「黄色い」「茶色い」
はありますが、
「緑い」「紫い」「藍い」
はありませんし、もちろん
「ピンクい」
も初めて耳にしました。過去に「ピンク」に関しては、
「平成ことば事情658 ピンク衣」
というのを書きました。
「ピンク色の白衣」
があって、それを医療関係者は、
「ピンク衣(い)」
と言っていると。2002年の話です。その「ピンクイ」という音に慣れているので、看護師さんは「ピンクい」という言葉を作り出したのでしょうか?
また、「平成ことば事情669 まっピンク」で書いたように、
「まっピンク」
という言葉は、俗語で出て来ていました。色の名前の前に「真」「まっ」が付くのも、本来は、「赤」「青」「黒」「白」で、「黄色」「茶色」がそれに準じるぐらいのはずです。
「まっピンク」と「ピンク衣」の登場で、医療現場では「ピンク」が完全に和語化・形容詞化して、
「ピンクい蓋」
のような言い方が広がっているのではないか?普通は、
「ピンクの蓋」
と「の」を使うのですがね。入院中の収穫の一つです。あ、「まっピンク」は、
「林家ぺー・パー子」
さんに関しては、使ってもいいような気持ちになって来ています。