新・ことば事情
6152「海の便」
台風10号のニュースの原稿を書いていた「ミヤネ屋」のディレクターが質問して来ました。
「道浦さん、飛行機は『空の便』って言いますけど、フェリーなんかは『海の便』って言うんですか?」
「え?『海の便』?うーん、聞いたことないな。『船は』か『フェリーは』のように、直接言ったほうがいいんじゃないの」
と答えたのですが、よく考えると、
「海の便」「陸の便」
とは言わないんですよね。「船便」は言いますが、これはどちらかと言うと「貨物」のイメージがあります。人を運ぶ「交通」でも使うのでしょうけどね。そんな中なぜか、
「空の便」
だけは「○○の便」を使う。なぜだろうか?理由はわかりませんが、もしかしたら、
「『飛行機=空の便』は、一日に同じ目的地との間で何便も飛んでいるので、ひっくるめて『空の便』という『愛称』 のようなものがあるけれど、『船』は、ほとんどは一日一便ぐらいで、そう頻繁じゃないから、ひっくるめた『愛称』のような言い方はしないのではないか?」
と思いました。
じゃあ、もっと頻繁な「陸の便」という言葉を使わない理由は?
「それは、『陸の交通』は『鉄道』だけでなく、『モノレール』や、乗用車やトラックなどが使う普通の『道路』や『高速道路』など、いくつかの乗り物があるので、個別の名前を(「鉄道は」「高速道路は」のように)言うのではないか?」
と考えました。
NHKのニュースを聞いていたら、
「○○と△△を結ぶ××フェリーは」
のような言い方をしたり、
「船の便は」
と言っているようでした。