新・ことば事情
6151「軽自動車の呼称」
去年(2015年)9月の新聞用語懇談会放送分科会で、私が提起した言葉の質問です。
「大阪・寝屋川の中1男女殺害事件で、軽自動車・軽四(自動車)・軽ワゴン(車)という表現が出てきたが、どう区別しているのでしょうか?」これに対する各社の委員の回答は、以下のようなものでした。
(日本テレビ)特に社内で議論はない。今回の事件では、ytvからの出稿をそのまま使っている。
(MBS&TBS)今回は「軽ワゴン車」で。最初の「防犯カメラの映像だけ」の時点では、「車」「シルバーの車」で、山田容疑者が逮捕されて、車が「EKワゴン」と特定された時点で「軽ワゴン車」になった。「軽四」は使わない。「軽乗用車」も使わない。必ずしも「軽ワゴン車」や「軽自動車」「軽のワンボックスカー」などを区別して使っているわけではない。ちなみに「普通乗用車」も使わない。
(KTV&フジテレビ)防犯カメラの映像の時点では「車」。逮捕後は「軽自動車」。「EKワゴン」と分かってからも「軽自動車」。警察発表をそのままの場合もあるが、できるだけかみ砕いて、車種を言うようにはしている(「軽ワゴン車」「軽バン」「軽トラック」「4WD」など)。
(ABC)最初「軽自動車」で出て、その後「軽ワゴン車」に。「軽四」は使わない。よりわかりやすく、詳しい車種を言うようにしている。
(テレビ朝日)明確な車種の区別はしていない。警察発表に従っている。
(テレビ大阪)明確な区別はなし。「軽ワゴン」という車種よりも、「シルバーの車」という「色」に重点を置いて来た。
(テレビ東京)「車」。車種は、映像を見ればわかると言うことで。警察発表には左右されない。
(NHK)今回は「軽ワゴン車」。特に決まりはない。細かく書いたほうが分かりやすい。「軽トラック」か「軽自動車」かは、区別する。情報が少ない場合は全てを含む形の「軽自動車」とすることも。
(共同通信)今回は「軽ワゴン車」にした。「ワゴン車」にも「ワンボックス」「ミニバン」があるが。
それから1年近くたった、2016年8月26日のABCのお昼のニュースの、兵庫・尼崎の車2台衝突事故(ひき逃げ事件)で、女性アナウンサーが、
「軽四」
と読んでいました。(字幕スーパーは「軽自動車」)
読売テレビのナレーションは、
「軽自動車」
で、NHKは、
「車」
でした。
さらに1か月余り後のきょう(2016年10月4日)のお昼のニュース(関西ローカル)でのひき逃げ事件では、
(ytv)軽自動車
(KTV)軽自動車
(MBS)軽自動車
(ABC)車(で走行中)
でした。