新・読書日記 2016_131
『強父論』(阿川佐和子、文藝春秋:2016、7、30第1刷・2016、8、20第2刷)
昨年亡くなった作家の父・阿川弘之について、長女の佐和子が記したエッセイ。これまでのエッセイにも、たびたび登場した大作家の父・弘之の「横暴ぶり」が、これでもか!と記されている。しかし憎むどころか、それが愛おしい、という感情が伝わってくる。「他人の悲劇」は、端の人からは「喜劇にしか見えない」ことも多いことが、よく分かる。こんな父親だったら嫌だなあと思いつつ、ちょっと面白いよなあ、関係ない人から見たら、この性格。つい、笑ってしまう所が、たくさん!
タイトルの「強父論」は「きょうふろん」と読む。ローマ字で「KYO-FU-RON」と書かれているし、奥付にも「きょうふろん」とルビが振ってある。「強い父」でもあり、それによる「きょうふ=恐怖」、まるでロベスピエールのような、そんな家庭生活の思い出がいっぱい詰まっている。この本を読んで、謹んで(笑いながら)ご冥福をお祈りいたしましょう。
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