新・読書日記 2016_124
『歌舞伎一年生~チケットの買い方から観劇心得まで』(中川右介、ちくまプリマー新書:2016、8、10)
中川さんの「実践的歌舞伎鑑賞」の入門編。「プリマー新書」は、中学・高校生ぐらいでも読めるように書かれているシリーズ。もちろん、大人が読んでもわかりやすく面白い。
タイトルの『歌舞伎一年生』は、小学館の学習雑誌『小学一年生』を意識したとのこと。でも「二年生」や「三年生」や、「十年生」ぐらいが読んでも、大丈夫。
表紙の「定式幕」をイメージした渋い色合いのシンプルなデザインも、良い。
この本を読むちょうど一週間ぐらい前に、たまたま別の用事で、東京の歌舞伎座の近く(東京メトロ・東銀座駅)に行ったので、地下から歌舞伎座に入るまでの所の状況は、よく分かった。歌舞伎座が新しくなってからは、まだ一回も芝居を観に行っていないのだけど。
「襲名披露興行」を「1か月」できるか「2か月」できるかは役者の人気(どれだけチケットを捌けるか=営業力)によって違うなどという、かなり「ツウ」の話も載っていたり、ただ観劇するだけではわからない事情なども、分かりやすく、ほどよく詳しく書かれていて、大変おもしろく勉強になる一冊。
あ、よく考えたらアイドルの「友の会」とか「後援会」の元祖は、「歌舞伎役者の後援会」(ご贔屓筋)なんだな。そのシステムを真似したんだな。その意味ではこれは、芸能界の「伝統」なのかな。「SMAP」は解散するけど、歌舞伎役者のつながりは「解散」しないな。一生、続くんだな。
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