新・ことば事情
6135「FSBは保安局か?保安庁か?」
「FSB」
と聞いて、てすぐに、
「ああ、あれね、ロシアの・・・」
と言える人がどのくらいいるのかわかりませんが、
「元の『KGB』です、ソ連の・・・」
と言えば、多くの人が、
「ああ、それなら知ってる。秘密警察でしょ」
と答えることでしょう。
そのまま、英語読みで「ケジービー」と言ったり、たぶんロシア語読みなのでしょう、「カーゲーベー」(ドイツ語っぽいな)と言われたりしましたね。
それがソ連の解体と共に解体されて、「ロシア」になってできた同じような組織が、「FSB」なのです。英語では、
「Federal Security Service of the Russian Federation」
ロシア語だと、
「Fedral' naya Sluzhba Bezopasnosti」
だそうで、その頭文字を取ったものです。これを、日本語に訳した場合にはどういうのか?
先日の「日本テレビ」の『ニュースZERO』では、
「ロシア連邦保安庁」
となっていましたが、「読売新聞社」が出している『読売スタイルブック2014』では、
「ロシア連邦保安局」
となっています。「庁」か?「局」か?微妙に違います。「庁」のほうが大きい感じです。
共同通信社が、ことし3月に最新版を出したばかりの『記者ハンドブック第13版・新聞用字用語集』には、なんと「KGB」は載っているのに「FSB」は載っていませんでした。
2005年に出た『NHKことばのハンドブック第2版』にも、「KGB」は載っていても「FSB」は載っていない。
これも、さらにちょっと古いんですが、2002年に出た『最新版・朝日新聞の用語の手引き』も「KGB」は載っているが、「FSB」は載せていません。(たぶん、本当の「最新版」なら載っているのかもしれません。)
ちなみに「FBS」ならば、日本テレビ・読売テレビ系列のテレビ局、
「福岡放送」
なのですが・・・。
冗談はさて置き、「ミヤネ屋」では、日本テレビに倣い、
「ロシア連邦保安庁」
で放送しました。
グーグル検索(8月16日)では、
*「ロシア連邦保安庁」=5万6600件
*「ロシア連邦保安局」= 8690件
と、圧倒的に「庁」でした。それを使っているメディアなどは、ネットで見る限り、
*「ロシア連邦保安庁」=国立国会図書館調査及び立法考査局、ウィキペディア、産経新聞(2016年4月6日・モスクワ遠藤良介記者)、海保大研究報告(小川哲也、2015年8月25日)
*「ロシア連邦保安局」=朝日新聞(2016年8月12日)、産経新聞(2016年2月8日=共同配信記事)、AFP=時事通信(2016年7月31日)
という感じでした。