新・読書日記 2016_118
『隠蔽捜査6 去就』(今野敏、新潮社:2016、7、30)
「隠蔽捜査」は、これがシリーズ6冊目なのか。なんか、一冊ぐらい読んだような気がするが、ずっと読んでいるわけではない。新作だったので、つい手に取って買ってしまった。こういう小説は、一気に読めるなあ。主人公・竜崎は警察庁のキャリアだが、"ある出来事"で警視庁の大森署長に「左遷」されている。そこで起こる「ストーカー」がらみの事件。自らの娘も、「ストーカー」かもしれない男と付き合っていて・・・。
途中で大体、展開は読めたが、面白かった。主人公がストイックで、ハードボイルド風なのがまた面白い。
注目したのは、「了解しました」という返事。この言葉、最近、
「敬語ではないので、使ってはいけない」
という意見が出て来ているみたいで、正しい返事は、
「承知しました」「承知いたしました」
だとかいう論があるようだが、早稲田大学非常勤講師で『三省堂国語辞典』編纂者の飯間浩明さんは、
「そんなことはない」
という論陣を張っている。私も「いいんじゃないの」と思う。この本は「警察」が舞台なので「了解しました」が何回か出て来て目に留まったので、書き抜いておく。
『竜崎は田端課長に言った。「殺人のほうの指揮をお願いします。私と加賀管理官は、略取・誘拐のほうを追います。」田端課長が言った。「了解しました」』(90ページ)
『「いいところに来た。殺人のほうの捜査について説明してくれ」「りょ、了解しました」』(184ページ)
『「これからすぐに、ここを出る」「了解」戸高の発音は、「りょーーかい」というふうに間延びして聞こえた。竜崎が電話を切ると、すかさず伊丹が質問して来た。』(201ページ)
『「近くで待機していてくれ。必要になったら連絡する」「了解しました」』(204ページ)
『伊丹が加賀管理官に言った。「事態は急を要するんだ。あらゆる手段を講じてくれ」(中略)加賀管理官の表情が引き締まった。「了解しました」彼は、管理官席に戻った。』(246ページ)
『竜崎が言った。「母親に、彼が無事だということを知らせてやってくれ」「了解しました」』(248ページ)
『一方、根岸はやる気満々だった。「了解しました。お任せください」』(253ページ)
ということで、警察では上司に対する返事として「了解しました」は、普通に使われていると考えてよさそうですね、この小説によるとですが。