新・ことば事情
6129「『ハン・イン』か?『イン・ハン』か?」
リオ五輪・卓球女子団体 準決勝で日本が対戦したドイツ代表。たしかに「ドイツ人」という風貌の選手もいましたが、中に、
「どう見てもアジア人」
という風貌の選手も名前も、
「中国人風」
の名前です。彼女たちは「ドイツに帰化した中国人」、つまり、
「中国系ドイツ人」
なのです。まあ、日本の卓球代表にも、過去には「中国から帰化」した、
「中国系日本人」
選手がいましたから、この世界ではそんなに不思議なことではありません。
さて、その名前のカタカナ表記ですが、「中国人」であれば、日本人と同じように、
「名字+名前」
の順でいいのですが、今は「ドイツ人」なので、
「名前+名字」
の順になります。きょうの「ミヤネ屋」の放送のテロップチェックで、福原愛選手が負けた相手が、
「ハン・イン選手」(韓瑩, Han Ying)
と出て来たのですが、これは「名字」の「ハン」は後ろにして、
「イン・ハン選手」
に直しました。略した場合は、
「ハン選手」
です。グーグル検索(8月15日)では、
「ハン・イン」=3970件
「イン・ハン」=1960件
「ハン・イン、卓球」=2930件
「イン・ハン、卓球」=1070件
で「ハン・イン」のほうが多かったのですが。「ハン選手」のユニフォームの背中には、
「Y.Han」
と書かれていました。(石川佳純選手の背中には「K.ISHIKAWA」)
ネット検索でメディアでは、
*「イン・ハン」=毎日新聞、東京スポーツ、北海道新聞、日刊ゲンダイ、NHK、
日刊スポーツ、中日新聞、中国新聞
*「ハン・イン」=産経新聞
なお、「朝日新聞」と「読売新聞」は、ドイツの選手の名前を出さずに「一番手」「三番手の選手」のように報道。「日経新聞」は、「ハン選手」と、フルネームを出しませんでした。
「イン・ハン」に地方新聞が多いのは「共同通信」からの配信記事を使っているからではないかと思われます。