新・ことば事情
6119「『うまい』を平仮名で書く理由」
「うまい」
という言葉を漢字で書くと、「上手だ」という意味では、
「上手い」
そして、料理のなどの味が「おいしい」という意味では、
「美味い」「旨い」
等と書くことがあります。どう書いても中学生以上ならば読めるとは思いますが、これらは新聞・放送のニュースでは全て「平仮名」で、漢字は使わずに、
「うまい」
と書くことになっています。報道以外の番組では「旨い」「美味い」「上手い」も使われているとは思いますが。
誰でも読めるのに、なぜ漢字で書かないのか?ちょっと気になっていました。
もちろん、
「常用漢字表に、読み方が載っていないから」
というのはわかりますが、載せたらいいし、実は、常用漢字表に載っていなくても、
「日本新聞協会の新聞用語懇談会が『ルビなしで使って良い』としている『常用平易な読み方』」(=「新聞常用漢字」)
というのもあるので、これなんか該当するんじゃないかなと思うんですけど、きのう、その理由をハタと思い付きました。つまり、こういうことじゃないかな。たとえば、
「料理がうまい」
という場合には、
(1)おいしい
(2)作るのが上手
の「2通り」があり、それによって、
(1)美味い
(2)上手い
と使い分けなくてはならないが、
「文脈からだけでは、区別がつきにくいこともある」
ので、そういったことに配慮して、「平仮名で書く」ことになっているんではないか?と。また「おいしい」の意味の「うまい」も、「美味い」「旨い」の「2通り」あって、それをどう使い分けるのか?「基準が無い・恣意的である」ことから、
「どちらも使わない」
ことにしたんじゃないのかなあと、思い当ったわけです。
忘れないように書いておきます。