Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

6149「バトンパス」

リオデジャネイロ五輪の男子400mリレーで見事「銀メダル」を獲得した日本チーム。

きょう(8月29日)、記者会見をしていました。4人の中に9秒台が一人もいないのに「銀メダル」を獲得できたポイントは、何といっても、

「バトンパス」

の高い技術ですね。

この「バトンパス」という言葉、私が子どもの頃は、

「バトントス」

と言っていたように思うのですが、いつ「パス」に変わったのでしょうか?

グーグル検索では(8月29日)

「バトンパス」=33万5000件

「バトントス」=   1610件

でした。あれまあ、圧倒的な差ですねえ。

正しくは「パス」のようですが、もしかしたら「バトントス」は方言?

まあ、よく考えると「トス」は、「バレーボール」のアタックの前にボールを上げたり、「テニス」のサーブの際にボールを上げたり、「コイントス」をしたりという場合ですよね。そうすると「バトントス」は「単なる誤用」だったのかなあ。

ずっと「バトントス」だと思っていました。

本当は「バトンパス」だと知ったことが、私にとっては、今回のリオ五輪の収穫ですね。

(2016、8、29)

2016年8月30日 09:16 | コメント (0)

新・ことば事情

6148「多摩湖」

台風9号関東上陸の影響で、

「西武・多摩湖線」

が、運転を見合わせています。というか、土砂崩れで運転できない状態、つまり、

「不通」

です。さてこの、

「多摩湖」

という湖、関西人には全くなじみがありません。音の響きが、

「タ/マ\コ」(中高アクセント)

で、「多摩」はわかっても「多摩湖」は、なじみがない。

それで思い出すのが、ドリフターズの「志村けん」さんが歌っていた、

「東村山音頭」

です。こんな歌詞でした。

♪東村山、庭先ゃ多摩湖♪

この「多摩湖」が、当時わからなかった、聞き取れなかったのです。なんとなく納得しないまま、

「タバコ」か「タマゴ」

だと思っていました。あのあたり、「狭山茶」の栽培もあるのだから、「タバコ」の栽培をやっているのかな?いや、農家の庭先でニワトリを飼っていて、毎朝「タマゴ」が採れるのだろう、と思っていたのです。

この謎が解明されたのは、実は、

「ここ数年」

のことです。

(2016、8、24)

2016年8月29日 22:15 | コメント (0)

新・読書日記 2016_136

『リオ~警視庁強行犯係・樋口顕』(今野敏、新潮文庫:2007、7、1第1刷・2015、11、10第32刷)

「隠蔽捜査」シリーズは読み終えたので、別の今野敏作品を読んでみようと。ちょうど「リオ五輪」が終ったばかりだから。この「リオ」というタイトルに惹かれて購入。これもシリーズもので「サブタイトルにあるように「警視庁強行犯係り・樋口顕」が主人公。「キャリア」ではない。1955年生まれでまだ40歳になったばかりの、脂の乗っている刑事。ということは、これが書かれたのは(設定は)1995年。もう20年以上前か。そういう時代の差も感じつつ。「ブルセラショップ」とか、ある意味そういった「なつかしい」風俗の言葉も出て来ます。

『隠蔽捜査』シリーズには、あまり「女」は出て来なかったが(1冊を除いて)、この本は物凄い美人の女子高生が主人公。なんとなく「佐々木希」さんをイメージしました。


star4

(2016、8、28読了)

2016年8月30日 22:11 | コメント (0)

新・読書日記 2016_135

『隠蔽捜査』(今野敏、新潮文庫:2006、2、1第1刷・2013、12、20第35刷)

この「隠蔽捜査」も「5」までシリーズを読んだのですが、最初の「1」にあたる「隠蔽捜査」を読みたかったのに、なかなか本屋さんで見つからず、少し大きな本屋さんで1冊だけ発見、即購入!

最初に文庫本が出たのが10年前で、それから7年で何と「35刷」!何というロングセラー・べストセラーではないですか!

第2巻からは、主人公のキャリア警察官・竜崎は、所轄の所長(警視庁・大崎署長)に「左遷」させられて、そこからいろんな事件を解決していくので、このシリーズが本当に始まるのは「2巻から」という感じなんですが、なぜ「左遷」されたのか、左遷される前の竜崎はどうだったのか、というようなことが分からないと、やはり居心地が悪いということで。読めて良かったです。

私は実は「スターウォーズ」は見てないんだけど、「スター・ウォーズ」も途中から始まって遡る感じなんでしょう?そんな感じで読んでみて、シリーズの「背骨」が通った感じです。このシリーズ、まだ続いているようなので楽しみです!


star4

(2016、8、21読了)

2016年8月30日 18:01 | コメント (0)

新・読書日記 2016_134

『隠蔽捜査5~宰領』(今野敏、新潮文庫:2016、3、1)

この「隠蔽捜査」シリーズ、1作目は「隠蔽捜査」だったのだが、その後は別に「隠蔽」して捜査している感じではないので、ちょっとシリーズのタイトルと合わない。本当は主人公の「竜崎・伊丹コンビ(?)」のシリーズなのだから、「隠蔽捜査」はサブタイトルにして、今回のように「宰領」というのがメインタイトルになっているのだが、それだと「シリーズだ」ということが分からないというジレンマも。シリーズ化というのも難しいものですね。これまでシリーズのタイトルは「2=果断」「3=疑心」「3,5=初陣」「4=転迷」と全部「漢字2文字」できていて、この「第5弾」も「宰領」と漢字2文字だが、意味が分からない難しい言葉。辞書を引いてみましょう。『精選版日本国語大辞典』によると、*「宰領」=「かしらだって物事の取り締まりや処理をすること。またその人。司宰。」

とありました。つまり「リーダー」「おかしら」ということですね。

今回は、衆議院議員が行方不明になって、その後、運転手が他殺体で見つかるという事件の展開。これまでよりもストーリーが複雑になり「どんでん返し」なども用意されて、面白かったです。


star4_half

(2016、8、20読了)

2016年8月30日 13:58 | コメント (0)

新・読書日記 2016_133

『リオデジャネイロ歴史紀行』(内藤陽介、えにし書房:2016、8、5)

ちょうど「リオ五輪」のタイミングに合わせる格好で出版されました。(発売日が、リオ五輪の開幕日!)

著者の内藤さんから贈って頂きました。ありがとうございます。

いつもの本のように「切手と、その国の歴史・情報」にあふれているが、今回はやや「切手」の情報が少なく感じた。全190ページと少し薄いので、読みやすい。豊富なカラー写真は、内藤さんが実際に現地に行って撮って来たものや、歴史的にも貴重な絵葉書の写真など。目で見てわかるリオデジャネイロの今・昔。

マラソンで走っていたコースに出て来た教会(カンデラリア教会)は「ああ、これだったのか!」とか、リオを象徴する、あの変わった形の大きな岩山は「ポン・ジ・アスーカル(砂糖パン)」と言う(そういえば、昔、小学校の給食に出た"揚げパン"みたいな感じだ)とか、その「ポン・ジ・アスーカル」と、キリストが両手を広げた十字架の形で立っている山(コルコヴァードのキリスト像)との位置関係などもよくわかった。意外とリオデジャネイロって、こじんまりした都市なんだなあと思いました。


star4

(2016、8、19読了)

2016年8月30日 10:56 | コメント (0)

新・ことば事情 2016_132

『ダリ展2016(図録)』(京都市美術館)

71日から京都市美術館で開かれている「ダリ展」。9月4日まで約2か月あるからまだ大丈夫・・・と思っているうちに、あっという間に8月も下旬。あわてて先週の日曜日(8月21日)に行ってきましたが、大変、混んでいました。ダリの人気、やはり高いですね!

これまでに見たことのない作品も多く、2時間たっぷり楽しめました。

で、ダリの妻・ガラが「年上」というのは知っていましたが、10歳も年上だったとは!

また、画面の中に同じ形をした「影」のような「映像のエコー」という図案については知りませんでした。なるほど、と。

そして、1940年~48年にアメリカに"亡命"していたことも知らなかった。その際に「1945年8月」に広島と長崎に落とされた「原爆」にショックを受けたダリは「原子の世界」を絵画に取り入れており、「止まっているように見える物も、その内部では"分子"が物凄いスピードで運動しているのだ」ということを「飛び回る静物」で表現したり、ある意味「最新の情報・科学」を芸術の世界にも取り入れていたのだなと。そのほか、宝石のデザインをしたり、バレエの舞台美術や衣装まで担当するなど、いろんなことに挑戦したダリ。キュビズムも、「平面」の絵画を「立体」に見せるには?と始まっているわけですから、新しいことをどんどん取り入れようという気持ち・進取の精神を、常に持っていたのですね!

(2016、8、21観賞)

2016年8月29日 21:54 | コメント (0)

新・読書日記 2016_131

『強父論』(阿川佐和子、文藝春秋:2016、7、30第1刷・2016、8、20第2刷)

昨年亡くなった作家の父・阿川弘之について、長女の佐和子が記したエッセイ。これまでのエッセイにも、たびたび登場した大作家の父・弘之の「横暴ぶり」が、これでもか!と記されている。しかし憎むどころか、それが愛おしい、という感情が伝わってくる。「他人の悲劇」は、端の人からは「喜劇にしか見えない」ことも多いことが、よく分かる。こんな父親だったら嫌だなあと思いつつ、ちょっと面白いよなあ、関係ない人から見たら、この性格。つい、笑ってしまう所が、たくさん!

タイトルの「強父論」は「きょうふろん」と読む。ローマ字で「KYO-FU-RON」と書かれているし、奥付にも「きょうふろん」とルビが振ってある。「強い父」でもあり、それによる「きょうふ=恐怖」、まるでロベスピエールのような、そんな家庭生活の思い出がいっぱい詰まっている。この本を読んで、謹んで(笑いながら)ご冥福をお祈りいたしましょう。


star4

(2016、8、29読了)

2016年8月29日 18:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6148「多摩湖」

台風9号関東上陸の影響で、

「西武・多摩湖線」

が、運転を見合わせています。というか、土砂崩れで運転できない状態、つまり、

「不通」

です。さてこの、

「多摩湖」

という湖、関西人には全くなじみがありません。音の響きが、

「タ/マ\コ」(中高アクセント)

で、「多摩」はわかっても「多摩湖」は、なじみがない。

それで思い出すのが、ドリフターズの「志村けん」さんが歌っていた、

「東村山音頭」

です。こんな歌詞でした。

♪東村山、庭先ゃ多摩湖♪

この「多摩湖」が、当時わからなかった、聞き取れなかったのです。なんとなく納得しないまま、

「タバコ」か「タマゴ」

だと思っていました。あのあたり、「狭山茶」の栽培もあるのだから、「タバコ」の栽培をやっているのかな?いや、農家の庭先でニワトリを飼っていて、毎朝「タマゴ」が採れるのだろう、と思っていたのです。

この謎が解明されたのは、実は、

「ここ数年」

のことです。

(2016、8、24)

2016年8月25日 23:05 | コメント (0)

新・読書日記 2016_130

『マリアージュ~神の雫・最終章3』(亜樹直・作、オキモトシュウ・画、講談社:2016、4、22第1刷・2016、7、22第2刷)

ということで買いました、読みました。そうか、そう繋がって来たのか。納得。

とにかく、話の筋(ストーリー)としては「ワインバトル」(つまり「勝ち・負け」の勝負)に持ち込まないと面白くないもんね。

それにしても、ワインの味もそうだが、いろんな料理の味も、漫画という「紙のメディア」で表現するのは難しいだろうなあと、改めて思いました。


star4

(2016、8、24読了)

2016年8月28日 20:58 | コメント (0)

新・読書日記 2016_129

『マリアージュ~神の雫・最終章4』(亜樹直・作、オキモトシュウ・画、講談社:2016、7、22)

ワイン漫画「神の雫」の続編である「マリアージュ」。講談社の漫画週刊誌『コミック・モーニング』で連載されている。ことしの初めに、この漫画の単行本が出ていることを知ってから、週刊誌の連載も読んでいるので、この「第4巻」は、大体すでに読んだストーリーだった。しかし、実はこの前の「第3巻」が、抜けているところだったのに、すでに「第3巻」は購入した(読んだ)と思って買わなかったので、ちょっと残念。

次に本屋さんに行ったら、絶対買うぞ!


star4

(2016、8、23読了)

2016年8月27日 20:57 | コメント (0)

新・読書日記 2016_128

『隠蔽捜査3.5~初陣』(今野敏、新潮文庫:2013、2、1)

なんで「3,5」何だろう?と思った。「3」があったら次は「4」でいいじゃない、と普通思いますよね。実は他の「隠蔽捜査」シリーズの「主人公」は、警視庁・大森署長の「竜崎伸也」なのだが、この「3,5」は、竜崎の少学生時代の同級生で警視庁の刑事部長である「伊丹俊太郎」が主人公。つまり「スピンオフ」の短編小説集なのである。そうか、それで「3.5」なんだ!納得。

しかも、伊丹が警視庁の刑事部長になる直前の「福島県警」勤務時代の話から始まり、『隠蔽捜査』シリーズの各物語(ストーリー)の「隙間」を繋ぐような話。

この一冊を読んで、もし、これを「ドラマ化」(もしくは映画化)するなら、

「竜崎=唐沢寿明」

「伊丹=仲村トオル」

でどうかな?と思いました。


star4

(2016、8、22読了)

2016年8月27日 10:55 | コメント (0)

新・読書日記 2016_127

『隠蔽捜査4~転迷』(今野敏、新潮文庫:2014、5、1)

外務省の職員が殺された事件に、悪質なひき逃げ事件、そして放火事件。そこに厚生労働省の麻薬取締官がマークしていた麻薬取引に関連して、麻薬取締官が「邪魔をされた!」と言いがかりを付けて来る。放火事件を調べたいのに「ひき逃げ事件の捜査本部に、所轄からも捜査員を出せ!」とプレッシャーがかかる。さらに、娘の恋人が海外で飛行機事故に巻き込まれたかもしれないので、外務省の情報を取ろうとすると、「外務省職員殺人事件の情報を出せ」と取引を要求され・・・警察小説の醍醐味、「警察内部の縄張り争い」に、他の省庁の縄張り争いまでが絡んできて、複雑な絡み合いになって、面白さも倍加する作品。


star4_half

(2016、8、17読了)

2016年8月26日 10:53 | コメント (0)

新・読書日記 2016_126

『隠蔽捜査3~疑心』(今野敏、新潮文庫:2012、2、1第1刷・2016、4、15第8刷)

シリーズ3冊目。

これは、主人公の堅物・キャリア警察署長・竜崎が、なんと恋に落ちるというお話。恋と言っても「もう、中学生か!」というようなプラトニックな。もどかしい。まあ、竜崎も結婚してるし、もしプラトニックじゃない恋に落ちると「不倫」となって、キャリアの警察官僚にとっては、もう取り返しのつかない汚点・ダメージになる訳で、それとの闘い。このシリーズは、ほとんど色恋など出て来ない。その意味でハードボイルドなので、この作品はちょっと違和感があったが、その後『隠蔽捜査3.5~初陣』という短篇の「スピンオフ」(主人公が、竜崎の小学生時代の幼馴染で、警察同期のキャリア「伊丹俊太郎」)を読んで、この「恋」の背景を知って「そうだったのか!」と納得したのだが。でも、おもしろかったです。他の作品が「おもしろすぎる」んだろうね。


star3_half

(2016、8、15読了)

2016年8月25日 20:52 | コメント (0)

新・ことば事情

6147「41個の読み方」

リオ五輪が終わりました。

日本選手団は、金・銀・銅合わせて過去最高の、

「41個のメダル」

を獲得することができました。(金12・銀8・銅21)盛り上がりましたよね!

さてこの「41個」を、日本選手団の橋本聖子会団長は、帰国報告会見で、

「ヨンジューイチコ」

と言いました。普通は、

「ヨンジューイッコ」

というように、「1個」は「イッコ」と「促音便」になるのではないでしょうか?

しかし最近は「促音便」にせずに「イチ」と言う傾向が強くなっているように思います。

その証拠に、8月22日の「閉会式」の様子を中継で伝えた、日本テレビの平本記者(男性)も、「銅メダルの数」=「21個」と、「全体メダルの数」=「41個」を、それぞれ、

「ニジューイチコ」「ヨンジューイチコ」

と言っていました。これがもし、「8個」ならば、

「ハチコ」

でもいいし、「促音便」の、

「ハッコ」

でも良いと思うのですが、「1個」と「6個」は「促音便」にして、

「イッコ」「ロッコ」

と言ってほしいです。

(2016、8、25)

2016年8月25日 11:30 | コメント (0)

新・読書日記 2016_125

『蔽捜査2~果断』(今野敏、新潮文庫:2010、2、1第1刷・2013、11、10第13刷)

「2016読書日記118」に書いた『隠蔽捜査6~去就』(今野敏、新潮社)を読んで、「シリーズの最初(第1巻)から読んでみたい」と書店に行ったら、第1巻が無くて、仕方なくて「第2巻」を買って帰る。一応、「一話完結」になっているから、どこから読んでも良いだろう。そもそも最初に「第6巻」から読んだんだし。

今回は立てこもり事件。主人公はキャリアの大森警察署長・竜崎。しかも、並みの警察署長ではない。警視庁の刑事部長と幼馴染で、「警視長」という「警視総監」「副総監」「警視監」に次ぐ、上から4番目のスーパーキャリアの47歳。でも、現場・前線に出たがるという、それでいて「理論・理想」を盾に現実の事件に向かっていく堅物。

いろんな要素があるのだが、どうもそれが全部繋がっていくのですね。それがこのシリーズの特徴のよう。いわゆる「伏線」というものですか。

大森署の、態度は悪いが有能な刑事・戸高は、一匹狼的で、ある意味、主人公の竜崎署長と気が合うのですが、この戸高刑事、この小説をドラマ化するなら、もう、

「綾野剛」

さんしかいないと思うのですが、いかがでしょうか。

もうドラマ化されているのかなあ?されていないなら、うちで作ってくれないかなあ。


star4

(2016、8、13読了)

2016年8月24日 12:06 | コメント (0)

新・ことば事情

6146「三陸沖を縦断」

先日の「ミヤネ屋」で台風情報をお伝えしましたが、その事前チェックをしていたところ、次のような表現のテロップが出て来ました。

「三陸沖を縦断」

ちょっと待てよ、と。「縦断」というのは、「縦」ですから、地図で言うと、

「上下=南北」

の方向です。台風は「北海道」に向かっていたので「方向性」は間違いないのですが、

「三陸沖を」

というのが気になりました。「縦断」(「横断」も)は、

「陸地の場合」

に使うのではないでしょうか?「海の上」を「縦断」できるの?

結局、放送では、

「三陸沖を北上」

という表現にしました。

(2016、8、22)

2016年8月23日 19:59 | コメント (0)

新・読書日記 2016_124

『歌舞伎一年生~チケットの買い方から観劇心得まで』(中川右介、ちくまプリマー新書:2016、8、10)

中川さんの「実践的歌舞伎鑑賞」の入門編。「プリマー新書」は、中学・高校生ぐらいでも読めるように書かれているシリーズ。もちろん、大人が読んでもわかりやすく面白い。

タイトルの『歌舞伎一年生』は、小学館の学習雑誌『小学一年生』を意識したとのこと。でも「二年生」や「三年生」や、「十年生」ぐらいが読んでも、大丈夫。

表紙の「定式幕」をイメージした渋い色合いのシンプルなデザインも、良い。

この本を読むちょうど一週間ぐらい前に、たまたま別の用事で、東京の歌舞伎座の近く(東京メトロ・東銀座駅)に行ったので、地下から歌舞伎座に入るまでの所の状況は、よく分かった。歌舞伎座が新しくなってからは、まだ一回も芝居を観に行っていないのだけど。

「襲名披露興行」を「1か月」できるか「2か月」できるかは役者の人気(どれだけチケットを捌けるか=営業力)によって違うなどという、かなり「ツウ」の話も載っていたり、ただ観劇するだけではわからない事情なども、分かりやすく、ほどよく詳しく書かれていて、大変おもしろく勉強になる一冊。

あ、よく考えたらアイドルの「友の会」とか「後援会」の元祖は、「歌舞伎役者の後援会」(ご贔屓筋)なんだな。そのシステムを真似したんだな。その意味ではこれは、芸能界の「伝統」なのかな。「SMAP」は解散するけど、歌舞伎役者のつながりは「解散」しないな。一生、続くんだな。


star4_half

(2016、8、9読了)

2016年8月23日 22:37 | コメント (0)

新・読書日記 2016_123

『中東から世界が崩れる~イランの復活、サウジアラビアの変貌』(高橋和夫、NHK出版新書:2016、6、10)

「ミヤネ屋」にも、何度も出演してくれている高橋先生の著書。勉強させていただきました。後半に最新情報も書かれているが、その最新情報を知るためには、まず「イスラム教と中東地域に関する基礎知識」を勉強しなくてはならない。それが半分ぐらいまで書かれている。これまでに何度となく関連の本を読んでいるが、なぜか知識に定着しないのは、やはり日本に住んでいると、イスラム教が身近な物ではないからであろう。

何度読んでも難度は変わらず、「そうだったのか!」と初めて読んだように、そう思う。

しかし、少しは定着した知識で言うと、

「今、注視しなければならないは、サウジアラビアとイランの関係。特にサウジアラビア」

ということか。「サウジ家のアラビア」という名前のこの国は、国王から若い皇太子に実権が移って、「イエメン」に対して軍事行動を起こすなど、これまでとは違う動きをし始めているが、それは「浅智恵による動き」だ、と。

じゃあ、我々はどうすればいいのか。うーん、見守るしかないのかなあ。

大国・ロシアとアメリカの関わりが、やはり大きな影響力を持っている。

日本も、ヘン動きをしないで、大局を把握した動きをしてほしいものである。


star4

(2016、7、30読了)

2016年8月23日 21:06 | コメント (0)

新・ことば事情

6145「修学院の読み方」

京都にある「修学院離宮」。この「修学院」の読み方は、

「しゅうがくいん」か?「しゅがくいん」か?

と、後輩の元アナウンサーで報道記者のI君が私に聞いてきました。

普通に読めば、

「しゅうがくいん」

ですが、昔、先輩アナウンサーに、

「これは『しゅがくいん』と読むのだ」

と教わった気がしますが、記録が残っていません。

「直線、電話して聞いたら?」

とアドバイスしましたが、もうその日は夜も遅くて、事務所も開いてないので、

「後日、電話します」

ということでした。

その話を半分忘れかけた頃、I君がやって来ました。

「この間の『修学院』の読み方ですけど、あの後、京都の宮内庁京都事務所に電話して聞いてみたんです。そしたら、『「しゅうがくいん」です』という答えでした」

と教えてくれました。ありがとう、I君。ということで、今後は、

「しゅうがくいん」

で行きます!

(2016、8、19)

2016年8月23日 16:04 | コメント (0)

新・ことば事情

6144「『シングルス』と『ダブルス』のアクセント』

8月17日の日本テレビのお昼のニュース『ストレイト・ニュース』で、リオ五輪の卓球女子代表が団体で「3位」、銅メダルを獲得したニュースを伝えていました。

その中で、ベテランの女性アナウンサーが、

「ダ/ブルス」

という、

「平板アクセント」

で原稿を読んでいるのを聞いてびっくりしました!急いで、新しい『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみると、案の定、

「ダ\ブルス」

「頭高アクセント」しか載っていなかったので、ホッとしました。

もちろん、その言葉をよく使う専門家の間では「平板アクセント」になる、いわゆる、

「専門家アクセント」

がありますけどね。もしかしたら彼女は、趣味で、「ダブルス」という言葉が出て来る「卓球」か「テニス」か「バドミントン」をやっているのかもしれません。

リオ五輪のバドミントン女子ダブルスで、見事に優勝を飾った「タカマツ」ペアの、松友美佐紀選手も、8月19日の日本テレビの夕方のニュース番組『every.』のVTRの中で、

「ダ/ブルス」

というように「平板アクセント」で話していました。「専門家」は、そうなのです。

その後のインタビューで出て来た伊藤美誠選手(15歳)は、

「シ/ングルスよ\りも」

というように、

「シ/ングルス」

「平板アクセント」で話していたので、これもビックリしましたが、これはまさに、

「専門家アクセント」

でしょう。その後に出て来た原稿で、女性アナウンサーも、同じように「シ/ングルス」と「平板アクセント」で読むのかなと思ったら、ここはさすがに、

「シ\ングルス」

「頭高アクセント」だったので、またホッとしました。

(2016、8、19)

2016年8月23日 13:03 | コメント (0)

新・ことば事情

6143「東海上」

8月17日の「ミヤネ屋」の「ニュース250」のコーナーで、キャスターが、

「台風7号は関東の"東海上"を北上し」

という原稿の、

「東海上」

という部分を、

「関東の"トーカイジョー"を」

と読みました。しかし、それを聞いて私は「あ!」と思いました。これは正しくは、

「関東の"ヒガシ・カイジョー"を」

なのです。原稿を見て「東海上」という文字に目が行ったときに、つい見慣れた、

「東海」

を、まず読んでしまって、

「東海・上」=「トーカイ・ジョー」

になってしまいますが、「関東」に「東海」はありません・・・あ、あった、茨城県に、

「東海村」

が。でも、そうじゃないですよね。気象情報でまず、目が行くべきところは、

「海上」

なのですから、

「東・海上」=「ヒガシ・カイジョー」

と読むべきものなのです。実はこれは、

「南海上」

でも、起こりうる間違いです。私達も気を付けましょう。

(2016、8、18)

2016年8月22日 22:21 | コメント (0)

新・ことば事情

6142「台風7号は、なぜシチゴウと読まないか?」

「7」を「ナナ」と読むか、それとも「シチ」と読むかについては、両論あると思いますが、世の中は、

「『ナナ派』が大半を占める」

のではないでしょうか?

以前、将棋の「七冠」「ナナカン」と読むか、「シチカン」と読むかに関しては、ことし7月30日に亡くなった、翻訳家でエッセイストでもあった柳瀬尚紀さんが書かれていました。

さて、天気情報を見ていてふと、思ったんですが、

「台風7号」

に関しては誰も、

「シチゴウ」

とは言いませんよね?100人が100人、

「ナナゴウ」

と言うのではないでしょうか?なんでだろう?

これって、「ナナ・シチ」論争のナゾを解くカギになりませんかね?

(2016、8、17)

2016年8月22日 18:15 | コメント (0)

新・ことば事情

6141「7人制ラグビー」

リオ五輪で初めて採用されて、日本代表がなんとニュージーランド代表を破るという大金星を挙げて注目された、

「7人制ラグビー」

従来のラグビーは、1チーム「15人」でやるのですから、その半分以下の人数でグラウンドを走りまくると、ちょっと人数が少なくて寂しい感じもしましたが、それはそれで魅力もあります。

さてこの、

「7人」

をどう読むか?例の「ナナ」か「シチ」かの問題ですが、各局の放送を聞いていると全て、

「シチニン」

と言っていました。「ナナニン」と言っているのは、耳にしませんでした。

ということで、記憶が消えないうちに記録しておきます。

(2016、8、18)

2016年8月22日 13:14 | コメント (0)

新・ことば事情

6140「萩野公介選手の年齢」

8月17日の「ミヤネ屋」の放送前に、Wデスクからこんな指摘がありました。

「競泳で金・銀・銅メダルを取った萩野公介選手(21)ですが、8月15日に誕生日を迎えて『22歳』になってます。きのう・おとといと使った『メダル獲得数のパネル』の年齢が、ずっと『21歳』のままでした。』

萩野選手が「22歳」の誕生日を「8月15日」に迎えていたのを、すっかり忘れていました、すみません。以後、気を付けます。しかしまあ、

「メダル獲得時の年齢」

と解せば、許容範囲かもしれませんが。

この話を、テロップ作成の部署の人に伝えて、

「萩野選手、今後は『22歳』ですのでよろしく!」

と伝えたところ、こんな質問が出ました。

「誕生日は『日本時間』で計算するんでしょうか?それとも『現地時間』でしょうか?もし、『日本時間』で、競技の途中に日付が変わったら、年齢の扱いはどうしましょうか?」

考えたことなかったなあ・・・まさか100メートルのターンまでは「21歳」で、そこで「日本時間」では日付が変わって、ターンしてから「22歳」に変えるとか?それはないでしょう。それは「21歳」(=元の年齢)で許されるんじゃないかなあ。いや、それよりも「現地時間」でいくべきかもしれませんね。なかなか難しいものですねえ。

「体操の白井健三選手」も、「8月24日」に、

「20歳の誕生日」

を迎えますし、「シンクロナイズドスイミング」「井村雅代監督」「8月16日」に、

「66歳の誕生日」

を迎えました。まさに現地のその日に、三井・乾ペアは「銅メダル」を、井村監督にプレゼントしたのです!粋ですねえ。やっぱり「現地時間」かな。

(2016、8、17)

2016年8月22日 11:13 | コメント (0)

新・ことば事情

6139「杯の読み方」

8月17日の「ミヤネ屋」で、リオ五輪で決勝進出を決めたバドミントン女子ダブルス「タカマツ」ペア(=髙橋礼華・松友美佐紀選手)の活躍をお伝えしました。

その際に、準決勝の相手・韓国ペアに、この前国別対抗戦の、

「ユーバー杯」

で負けたという一文がありました。それに関して、ナレーターの藤田さんから質問がありました。

「『ユーバー杯』の『杯』は、『はい』と読むのでしょうか?それとも『カップ』と読むのでしょうか?」

これに関して私は、

「『カップ』と読みます」

と答えました。理由は、もし、

「天皇杯」「皇后杯」「総理大臣杯」

のように「杯」の前が「完全な日本語」であれば、

「はい」

で読むのですが、「杯」の前が、

「アジア杯」「W杯」「デビス杯」

など「外来語」で、その「杯」自体が、外国・国際的なものなら、「杯」と書いてあっても

「アジアカップ」「ワールドカップ」「デビスカップ」

のように、

「カップ」

と読むべきだろうと考えたからです。この「ユーバー杯」も外国由来のものですから、この場合の読み方は、

「ユーバーカップ」

となると考えました。放送はそれで行きました。

(2016、8、17)

2016年8月21日 22:12 | コメント (0)

新・ことば事情 (2016、8、18)

6138「監督か?ヘッドコーチか?コーチか?」

日本時間の8月17日、シンクロナイズドスイミングのデュエットで、三井・乾組が2大会ぶりの銅メダルを獲得しました。おめでとうございます!

奇しくもこの日(現地・8月16日)は、指導に当たった「シンクロの母」こと、

「井村雅代さん」

の66回目の誕生日でした。

ところで、この井村雅代さんは、「監督」なのか、「ヘッドコーチ」なのか、それとも「コーチ」なのか?「ミヤネ屋」の原稿とテロップに、

「鬼コーチ」

という表記が出て来たので「日本選手団名簿」を確認すると、井村雅代さんは、「コーチ」ではなく、

「監督」

となっていました。その理由をディレクターに尋ねると、

「日テレ原稿では『ヘッドコーチ』という英語名を使っているようなので、それに従ったのですが・・・」

という答え。しかしご存じだと思いますが、英語の、

head coach(ヘッドコーチ)」

は、日本語に訳すと、

「監督」

です。まあ、しかし「肩書表現」は統一したほうがいいから、それならそれに従いましょう。でも、

「鬼ヘッドコーチ」

とすると文字数も多く、語呂も悪くなじまないで、そこは

「鬼監督」

でいって、名前と一緒に出す時は、

「井村雅代ヘッドコーチ」

にしましょうということになり、それで放送しました。

ところが!「ミヤネ屋」放送が終った後に、日本テレビの「every.」を見ていたら、

「井村雅代監督」

「監督」を使っているではないですか!日本テレビの中でも統一されているわけではなく「番組ごとの判断」のようですね。

ちなみにその後の、NHK「7時のニュース」では、ナレーションもテロップ(サイドスーパー)も、

「井村監督」

でした。

しかし、本記のナレーションの中では、

「ロサンゼルス大会からヘッドコーチとして指導しました」

と、「ヘッドコーチ」も使っていました。

しかし本番の「競技実況」は、

「井村コーチ」

でした。

また、8月17日の各紙夕刊の表記は、

(読売)ヘッドコーチ(2回目は「コーチ」)

(朝日)コーチ

(毎日)ヘッドコーチ

(産経)監督

(日経)ヘッドコーチ(2回目は「コーチ」)

でした。また、翌18日のTBSの朝のワイドショー『白熱ライブ・ビビット』では、

「井村雅代ヘッドコーチ」

「ヘッドコーチ」を使っていました。

同じような問題は、「48キロ級・登坂」「58キロ級・伊調」「69キロ級・土性」で3つの金メダルを取った8月18日の「レスリング女子」でも起きました。

「栄和人監督」

の肩書を「日本選手団名簿」で確認したところ、

「チームリーダー」

になっていたので、テロップはそれでいこうと指示。しかし、中継を見ていたら、実況アナウンサーが、

「栄本部長」

「本部長」と呼んでいて、インタビューに答えた土性沙羅(どしょう・さら)選手は、

「監督を肩車するって」

とやはり「監督」を使っていました。

同じ競技で「男女の別」がある場合には「男子チーム監督」と「女子チーム監督」がいるースもありますし、本当にややこしいです。

2016年8月21日 18:10 | コメント (0)

新・ことば事情

6137「公船」

このところ連日・・・というか、春からずっと、尖閣諸島に中国の船が入り込んでは、まあ、ある意味の「示威行為」を続けているというニュース。

最初は「漁船」だったのが、「軍艦」に近いようなものまで出て来るようになり、きのう(8月16日)のニュースの映像を見たら、あれまあ、ワンカットカートの画面に、

「数十隻の船」

が写っているではありませんか!

月並みな言葉ですが、もう、

「海の銀座」

みたいな様相を呈しています。

これらのニュースでよく出て来るようになった言葉は、

「公船」

です。「公の船」です。ふだん、あまり使わない言葉です。「こうせん」と聞いて思い浮かぶものと言えば、

「工船」

ですね、「蟹工船」の。

十数年前に北朝鮮の船が日本海に出没した時には、

「不審船」

という言葉がよく使われましたが(平成ことば事情833「不審船と工作船」参照)、今回の尖閣の船は、明らかに「中国の船」と分かっているので、その意味では「不審船」ではありません。正体が分かっているからです。しかも、

「民間の船ではなく、中国の国が出している船」

ということで、「公船」なのでしょうか?意味を調べましょう。

『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』『明鏡国語辞典』『NHKアクセント辞典』には載っていませんでした。『広辞苑』には載っていました。

*「公船」=(1)私法上、公用に供する船舶。多くは官公署の所有に属する。軍艦・測量船・練習船の類。

(2)国際法上、国家の公権を行使する船舶。軍艦、警察用・税関用の船舶の類。

とありました。また、『精選日本国語大辞典』には、

*「公船」=(1)国の管理に属し、公用に供される船舶。測量船、検疫船、巡視船など。

(2)国際法上、国家の公権を行使する船舶。警察用、税関用の船舶など。⇔私船

とありました。ほとんど同じですが、今回の中国の「公船」は(2)の「国際法上・・・」というのが当てはまるでしょうね。

あまり、話し言葉では出て来ない「国際法上」で取り決められている概念なのですね。

英語では、何と言うのでしょうか?直訳なら、

public ship

ですかね?

そもそも、中国の「海自警察(海警局)の船」と「海軍の船」の両方が出て来ていると思うんですけど、それらをひっくるめて言うために「公船」と言っているんしょうかね?

8月17日夜7時の「NHKニュース」では、

「中国海警局の船4隻が」

と読み、テロップでは、

「中国当局船」

という表現を使っていました。

8月17日の各氏夕刊では、

【見出し】    【本文】

(読売)中国公船     中国海警局の公船

(朝日)中国公船     中国海警局所属の公船「海警」

(毎日)  <記事なし> 

(産経)中国公船     中国海警局の船

(日経)中国公船     中国海警局の公船

でした。

(2016、8、18)

2016年8月21日 13:08 | コメント (0)

新・ことば事情

6136「1勝14ハイ」

リオ五輪・卓球男子シングルスで、見事銅メダルを取った水谷隼選手が、団体の準決勝で対戦したドイツのボル選手について、「3-0」のストレートで彼を破った後のインタビュ-で、こう話していました。

「彼とは、これまで1勝14敗ぐらいだったんですけど、きょうは勝つ気で来ました」

実際の成績は「1勝15敗」だったそうですが、この日、勝ったので「2勝15敗」になりましたね。

その際の、「14敗」の「敗」を、普通は、「4(ヨン)」の後なので「撥音」で、

「ジューヨン"パイ"」

と「半濁音」で言うと思うんですが、水谷選手は、

「ジューヨン"ハイ"」

と濁らずに言っていました。最近は、やはり、

「濁らない傾向」

が進んでいるようです。

(2016、8、16)

2016年8月21日 11:55 | コメント (0)

新・ことば事情

6135「FSBは保安局か?保安庁か?」

「FSB」

と聞いて、てすぐに、

「ああ、あれね、ロシアの・・・」

と言える人がどのくらいいるのかわかりませんが、

「元の『KGB』です、ソ連の・・・」

と言えば、多くの人が、

「ああ、それなら知ってる。秘密警察でしょ」

と答えることでしょう。

そのまま、英語読みで「ケジービー」と言ったり、たぶんロシア語読みなのでしょう、「カーゲーベー」(ドイツ語っぽいな)と言われたりしましたね。

それがソ連の解体と共に解体されて、「ロシア」になってできた同じような組織が、「FSB」なのです。英語では、

「Federal Security Service of the Russian Federation」

ロシア語だと、

「Fedral' naya Sluzhba Bezopasnosti」

だそうで、その頭文字を取ったものです。これを、日本語に訳した場合にはどういうのか?

先日の「日本テレビ」の『ニュースZERO』では、

「ロシア連邦保安庁」

となっていましたが、「読売新聞社」が出している『読売スタイルブック2014』では、

「ロシア連邦保安局」

となっています。「庁」か?「局」か?微妙に違います。「庁」のほうが大きい感じです。

共同通信社が、ことし3月に最新版を出したばかりの『記者ハンドブック第13版・新聞用字用語集』には、なんと「KGB」は載っているのに「FSB」は載っていませんでした。

2005年に出た『NHKことばのハンドブック第2版』にも、「KGB」は載っていても「FSB」は載っていない。

これも、さらにちょっと古いんですが、2002年に出た『最新版・朝日新聞の用語の手引き』も「KGB」は載っているが、「FSB」は載せていません。(たぶん、本当の「最新版」なら載っているのかもしれません。)

ちなみに「FBS」ならば、日本テレビ・読売テレビ系列のテレビ局、

「福岡放送」

なのですが・・・。

冗談はさて置き、「ミヤネ屋」では、日本テレビに倣い、

「ロシア連邦保安庁」

で放送しました。

グーグル検索(8月16日)では、

*「ロシア連邦保安庁」=5万6600件

*「ロシア連邦保安局」=  8690件

と、圧倒的に「庁」でした。それを使っているメディアなどは、ネットで見る限り、

*「ロシア連邦保安庁」=国立国会図書館調査及び立法考査局、ウィキペディア、産経新聞(2016年4月6日・モスクワ遠藤良介記者)、海保大研究報告(小川哲也、2015年8月25日)

*「ロシア連邦保安局」=朝日新聞(2016年8月12日)、産経新聞(2016年2月8日=共同配信記事)、AFP=時事通信(2016年7月31日)

という感じでした。

(2016、8、16)

2016年8月20日 18:55 | コメント (0)

新・ことば事情

6134「『アップストア』と『アップルストア』」

もう、ひと月ほど前のことになりますが、「『ポケモンGO』日本上陸」の日本テレビの夜のニュース『ニュースZERO』で、

「さきほどお伝えしたニュースの中で『アップルストア』とお伝えしましたが、正しくは『アップストア』でした」

と訂正をしていました。それを見て、

「『アップルストア』は見たことがあって知ってるけど、『アップストア』って何だろう?」

と思いました。翌日の「ミヤネ屋」で、同じネタを放送することになり、同じ素材(VTR)が出て来たので、「アップル」と「アップ」の違いが分からないながら、

「このニュースに出てくるのは、『アップルストア』じゃないよ、『アップストア』だよ!」

と注意を促しました。その言葉を聞いて、スマホ等に詳しいスタッフが、

「『アップストア』というのは、ネット上でアプリを購入するところですね」

と教えてくれました。アプリを購入した経験がほとんどないので、知りませんでした。

検索してみると、

*「アップストア(App Store)」=「アップル社が運営する、iPhoneiPod touchiPad向けアプリケーションのダウンロードサービス」

なのだそうです。どっちも「アップル社」がやっているけど、

*「リアルな店舗」=アップルストア

*「バーチャルな店舗」=アップストア

ということですかね。そもそもiPhoneじゃないから僕は関係ないのか。

(2016、8、16)

2016年8月20日 10:16 | コメント (0)

新・ことば事情

6133「あん馬と跳馬」

リオ・オリンピックの体操競技を見ていて、ふと思いました。

「あん馬」も「跳馬」も、なぜ「馬」なのか?

たぶん「体操競技」はヨーロッパで始まったので、それと関係しているのではないか?

そもそも「英語」では何と言うか?調べてみよう!和英辞典(電子辞書)を引いてみると、

男子の6種目から。

「あん馬」=pommel horse

「跳馬」 vault horse

「鉄棒」 the horizon bar

「ゆか」 floor exercises

「平行棒」=the parallel bars

「つり輪」=the rings

でした。

pommel」は「馬の鞍(くら)」ですから、「あん馬(鞍馬)」は「直訳」ですね。

vault」は「跳ぶ」ですから、「跳馬」も「直訳」。「ゆか」「平行棒」の「floor exercises(ゆか運動)」「the parallel(平行) bars(棒)」も直訳ですね。「ひねり」がありません。その分、競技で「ひねり」を入れているのでしょうか?

そう言えば「棒高跳び」は、

the pole vault

でしたね。昔、棒高跳びの「鳥人(ちょうじん)=超人」と呼ばれた

「セルゲイ・ブブカ選手」

が、大阪城ホールで行われた競技会に来た時に、覚えました。

horizon」は「地平線」「水平線」と覚えていましたが、この場合は、

「水平の」

という意味のようです。

「鉄棒」は「単数形」で「平行棒」は2本あるから、しっかり「複数形」です。

最後のthe ringsは直訳だと、

「輪」

だけなので、さすがにちょっと「輪」だけだと「笑っていいとも!」みたいで、なんですから、イメージの「吊(つ)り」を足したのでしょうかね。

the suspended rings

ではないのか。

女子は4種目で「跳馬」と「ゆか」は男子と共通で、独自の種目は残りの2つ。

「段違い平行棒」=the uneven bars

「平均台」 the balance beams

でした。

「段違い」は「イーブンでない」と記されていて、「棒」も「複数形」であるbarsですね。

また、「平均台」は、「バランス」はわかりますが、beamsは、

「光線」

じゃないの?と思って辞書を引くと、他の意味で、

「梁(はり)、横材」

というのがありました。これだ!つまり直訳なら、

「バランス台」

とするところではないでしょうか。

さて最初の疑問に戻ってなぜ体操には「あん馬」「跳馬」と「馬」が出て来るのか?

おそらく、ヨーロッパの騎士は「馬」に乗っていたので、日頃から「馬」が道具であり、仲間であり、騎士として馬に乗ってその腕を上げるために、「馬」に関連した技術を磨くことを競っていたのではないか?それで「馬」がらみの名前の競技が多いのではないか?と思いました。

その競技で、日本勢が金メダルを取ったわけですが、ヨーロッパの「騎士」と同じように、日本の体操チームは、

「サムライ」

であるということでしょう!

それにしても「跳馬」は今回見たら、何か「今風」のオシャレな形と色になっていました。また「あん馬」も、昔はもっと「鞍」っぽくて、本当の「馬の鞍」の形をしていて、そうですね、「跳び箱の一番上の所」に脚が付いたような感じで、見るからに、

「体操器具」

という感じ。ふだんは「体育倉庫」の中でホコリを被って静かに眠っていそうな感じでした。

(2016、8、16)

2016年8月19日 10:12 | コメント (0)

新・ことば事情

6132「バイカモのアクセント」

8月16日の読売テレビお昼のニュースで、諸國アナウンサーが、滋賀県米原市で、

「バイカモの花が咲いた」

というニュースを読んでいました。「バイカモ」というのは漢字で書くと、

「梅花藻」

です。これを諸國アナは、

「バ/イカモ」

「平板アクセント」で読んでいました。なんだか、

「カ/ルガモ」「ア/イガモ」

のように聞えました。そして、

「バ/イカ\モ」

という「中高アクセント」もあるのではないかなと思い、『NHKアクセント新辞典』を引いてみましたが、載っていませんでした。

そこでもう一度、似たような「モ」の仲間を思い浮かべて見ると、

「ミ/ズモ」「マ/リモ」

など"も"「平板アクセント」ですから、まあ「バ/イカモ」でいいのかなと思いました。

「バ/イカ\モ」と「中高アクセント」にすると、

「倍かも」

といったニュアンスに、なってしまいますしね。

(2016、8、16)

2016年8月18日 22:08 | コメント (0)

新・読書日記 2016_122

『ゴジラとエヴァンゲリオン』(長山靖生、新潮新書:2016、7、20)

映画「シン・ゴジラ」の公開にあわせて出されたような感じの一冊。「シン・ゴジラ」は見に行きたいと思っていたので(この本を読んだ後に、見に行きました!)その前に読んでおくかな、と。

著者の長山さんの本は、これまでにも何冊か読んでいるが、どれも知的好奇心を刺激されるものであった。この本も、そんな例に漏れず、おもしろい。

「ゴジラ」は見たことがあるのだが、「エヴァンゲリオン」は見てないし、あまり興味もなかったのだが、この本を読んでいたら、「見て見たいな」と思った。そして何と言っても「シン・ゴジラ」の監督は「エヴァンゲリオン」の"庵野監督"なのだから、その共通点を論じることは、大いに意味のあることである。

庵野監督の「世界観」が、どう「シン・ゴジラ」に反映されているのか?そういったことを通じて、「現代日本」の行方を問うことができると思った。

ちなみに「シン・ゴジラ」の「シン」の意味は何なのか?というのが、皆さん気になるところだと思うが、「新」「真」の他に、著者は「信仰」の「信」、そして英語で「罪」の意味がある「sin」という意味も含んでいるのではないかと言う。また「エヴァンゲリオン」の次作は「シン・エヴァンゲリオン」だと予告しておきながら、先に「シン・ゴジラ」を作るとは何事だ!という声もあるのだそうだ。もしかしたら、庵野監督にとっては「ゴジラ」と「エヴァンゲリオン」は、「表裏一体」なのかもしれない。


star4

(2016、8、4読了)

2016年8月18日 18:07 | コメント (0)

新・読書日記 2016_121

『日本会議の正体』(青木理、平凡社新書:2016、7、8初版第1刷・2016、7、27初版第2刷)

このところ注目を浴びている「日本会議」。

「にほん」と読むのか「にっぽん」と読むのかは、この本の最初を読むだけで確認できる。ちゃんと、

「にっぽん」

と書いてある。勉強になった。。。。。

いや、それだけではない、大体は、「2016読書日記090」で書いた『日本会議の研究』(菅野完、扶桑社新書)を以前に読んだので、「おさらい」になったのだが、以前「ミヤネ屋」にも出て頂いていた青木理さんは、さすがジャーナリスト、「日本会議」の関連の方々に、直接取材=インタビューを行っており、その一問一答を、そのまま紙上に載せているのが貴重。(頑なにインタビューに応じなかった人もいるようだが、そのことが、その人物の輪郭を浮き彫りにしている。)

そんな中で、ちょうど「第3次再改造安倍内閣」の目玉として「防衛大臣」になった「稲田朋美氏」にもインタビューしていて、その部分が、この本の"一番のキモ"になっているのではないかなと感じた。

そして、防衛大臣就任後、最初の(一番の)注目事項である、稲田防衛相の「8月15日の靖国神社参拝」は、避けられた。「ジブチ」へ海外視察に出かけていたからだ。「参拝しない」ことが不自然でない様に、稲田防衛大臣は「ジブチ視察」に出かけた(もしくは行かされた・・・安倍総理、あるいはその側近に)のではないだろうか。


star3

(2016、8、7読了)

2016年8月18日 11:05 | コメント (0)

新・読書日記 2016_120

『一回半ひねりの働き方~反戦略的ビジネスのすすめ』(平川克美、角川新書:2016、2、10)

タイトルがおもしろそうだったのと、内田樹の幼なじみの著者・平川克美さんという人がどんな人なのか、ちょっと興味があったので、読んでみた。「2016読書日記099」で紹介した『僕たちの居場所論』(内田樹・平川克美・名越康文、角川新書)を読んだのも、この本を読むきっかけになった。「著者つながりの読書」ですね。

ビジネス論なので、特に前半は意味の分からない横文字・カタカナが氾濫する「いけすかない文章」が続いて、「なんだ、読んで損したな」と思ったのですが、途中から「フムフム、なるほど」と、うなずける内容に変わって来た。 

第7章「それは何に対して支払われたのか~評価とは何か」、第8章「攻略しないという方法~新しいビジネスの哲学として」などは勉強になったし、同意できるものであった。


star3

(2016、8、4読了)

2016年8月17日 21:04 | コメント (0)

新・読書日記 2016_119

『泡沫日記(ほうまつにっき)』(酒井順子、集英社文庫:2016、6、30)

2016読書日記115で書いた「ジェーン・スー」さんの『女の甲冑 着たり脱いだり毎日が戦なり』を読んだら、なんだか酒井順子さんが読みたくなって、本屋さんへ行くと、まだ読んだことのない文庫本があったので購入。即読んだ。単行本は2013年に出ているそうだ。知らなかった。タイトルは「うたかた」と読むのかと思ったら「ほうまつ」とルビが振ってあった。

「50歳」を目前にした「中年女性」の酒井さんが、「この年になって初めて経験すること」について書いています。「老い」も「新しい発見」と考える視点だと、それと「戦う」ということがない。「ジェーン・スー」さんは、きっと「老化」に対して「アンチ・エイジング」というように「アンチ=反」で戦っているのだが、酒井さんはそれらも「新しい体験・経験」として受け入れている自然体。そういう意味では、酒井さんの態度の方が好ましいが、それはやはり「年の功」なのではないかなあ・・・という気もするわけです。


star4

(2016、8、2読了)

2016年8月17日 11:03 | コメント (0)

新・読書日記 2016_118

『隠蔽捜査6 去就』(今野敏、新潮社:2016、7、30)

「隠蔽捜査」は、これがシリーズ6冊目なのか。なんか、一冊ぐらい読んだような気がするが、ずっと読んでいるわけではない。新作だったので、つい手に取って買ってしまった。こういう小説は、一気に読めるなあ。主人公・竜崎は警察庁のキャリアだが、"ある出来事"で警視庁の大森署長に「左遷」されている。そこで起こる「ストーカー」がらみの事件。自らの娘も、「ストーカー」かもしれない男と付き合っていて・・・。

途中で大体、展開は読めたが、面白かった。主人公がストイックで、ハードボイルド風なのがまた面白い。

注目したのは、「了解しました」という返事。この言葉、最近、

「敬語ではないので、使ってはいけない」

という意見が出て来ているみたいで、正しい返事は、

「承知しました」「承知いたしました」

だとかいう論があるようだが、早稲田大学非常勤講師で『三省堂国語辞典』編纂者の飯間浩明さんは、

「そんなことはない」

という論陣を張っている。私も「いいんじゃないの」と思う。この本は「警察」が舞台なので「了解しました」が何回か出て来て目に留まったので、書き抜いておく。

『竜崎は田端課長に言った。「殺人のほうの指揮をお願いします。私と加賀管理官は、略取・誘拐のほうを追います。」田端課長が言った。「了解しました」』(90ページ)

『「いいところに来た。殺人のほうの捜査について説明してくれ」「りょ、了解しました」』(184ページ)

『「これからすぐに、ここを出る」「了解」戸高の発音は、「りょーーかい」というふうに間延びして聞こえた。竜崎が電話を切ると、すかさず伊丹が質問して来た。』(201ページ)

『「近くで待機していてくれ。必要になったら連絡する」「了解しました」』(204ページ)

『伊丹が加賀管理官に言った。「事態は急を要するんだ。あらゆる手段を講じてくれ」(中略)加賀管理官の表情が引き締まった。「了解しました」彼は、管理官席に戻った。』(246ページ)

『竜崎が言った。「母親に、彼が無事だということを知らせてやってくれ」「了解しました」』(248ページ)

『一方、根岸はやる気満々だった。「了解しました。お任せください」』(253ページ)

ということで、警察では上司に対する返事として「了解しました」は、普通に使われていると考えてよさそうですね、この小説によるとですが。


star4

(2016、8、6読了)

2016年8月16日 23:02 | コメント (0)

新・読書日記 2016_117

『日本の給料&職業図鑑Plus』(給料BAMK、宝島社:2016、7、25)

なんとこういった本が「コンビニ」で売られているのだなあ。買う人がいるのだろうか?と思いながら買ってしまった。

正確には「給料」というのは「月収」でも「年収」でもなく、「月収」を基準に「その給料で定年まで働いたら、『生涯収入』はいくらになるか」を、アニメ好きの男性を対象にした(?)イラストとともに記したという本でした。実はこれが初めての本ではなく、同じようなシリーズの本の中の一冊なのだそうだ。ということは、そこそこ売れているんだろうなあ。


star3

(2016、7、28読了)

2016年8月16日 21:01 | コメント (0)

新・読書日記 2016_116

『都知事~権力と都政』(佐々木信夫、中公新書:2011、1、25)

5年前にこの本が出た時にすぐに買って、それから何度かの都知事選が巡ってくる度に「読もう、読もう」と思っているうちに都知事選が終り、そのまま興味が薄れて...というのを繰り返していたので、

「今度こそ、都知事選までに読もう!」

と決意。なんとか読み終えました。そして小池都知事が誕生しました。

その間、著者の佐々木信夫さんには何度も「ミヤネ屋」にご出演頂きました。ありがとうございました。

前半で「都知事の権力」を記すとともに、後半では「東京都」とういう「自治体の仕組み」について解説した本でした。


star3_half

(2016、7、28読了)

2016年8月16日 13:59 | コメント (0)

新・読書日記 2016_115

『女の甲冑 着たり脱いだり毎日が戦なり』(ジェーン・スー、文藝春秋:2016、5、30第1刷・2016、6、30第2刷)

著者の「ジェーン・スー」さんのエッセイは、以前一冊読んで面白かったので、この本も買ったのだが。

うーん、傾向としては「酒井順子さん」と似ているのだが、酒井さんよりも6~7歳若いのかな、世代差を感じる。その分、文体が、私ら世代とはしっくり来ない感じもある。

最初に読んだ本に比べると、著者本人が今悩んでいるような感じがした。もがいているというか。タイトルのように、「女(女性)」が「社会」に出て、独り者で働いて暮らしていく上で、これまでの「世の中」の視線(常識)と戦っていかなくてはならない。今、彼女は奮闘中。酒井順子さんは、「戦わずして勝つ方法」を探していたように思うのだが(多少、彼女は"男性的な面"もあったのだと思う。「鉄子」だったり。だから世の中は酒井さんの「敵」とまではいかなかった)、ジェーン・スーさんは正面から戦って、かなり疲れているように思えました。ジェーンさんが「世の中」と戦う際に着る「甲冑」を仕舞った「クローゼット」の中を、あなたも覗いてみませんか?


star3

(2016、7、25読了)

2016年8月15日 23:58 | コメント (0)

新・ことば事情

6131ナイジェリアとニジェール」

オリンピックのサッカーで、日本が初戦で戦い、「4-5」という壮絶なゴールの奪い合いになった相手チーム、

「ナイジェリア」

ですが、

「飛行機代が払えず、ブラジルに到着したのは、何と試合開始6時間半前」

という、

「あわや不戦敗?」

という状況で話題になりましたが、そのチームに、2週間前にブラジル入りしていた日本は負けたわけで「力の差」を感じざるを得ませんでした。

実は、その試合前の「国歌演奏」で、

「『違う国の国歌』がかかっていた」

ことが判明したそうです。その「違う国」というのは、

「ニジェール」

です。「ナイジェリア」に比べると、知名度が低い(知られていない)のではないかと思いますが、実はこの両国は「隣国同士」です。「ナイジェリア」の北側に「ニジェール」は隣接しています。「ナイジェリア」は海がありますが、「ニジェール」は内陸の砂漠の国で、海はありません。そして両国の国土の西側を貫くように、

「ニジェール川」

が流れています。

辞書で調べて見ると、それぞれの国は、独立前は「植民地支配」をされていたのですが、その「宗主国」は、

*「ナイジェリア」=「イギリス」

*「ニジェール」 =「フランス」

なのです。つまり、恐らくですが、

「両国とも、元々は同じ名前」

で、それを「英語読み」したら「ナイジェリア」で、フランス語読みしたら「ニジェール」なのではないか?と思ったのです。

同じ疑問を持つ人はいて、それに答える人がいるのですね。「ヤフー知恵袋」のベストアンサーによると、

「元々、同じ名が指し示す地域を、イギリスとフランスが分割して植民地とし、それぞれが独立したため、英語名のナイジェリアと、仏語名のニジェールが別々の国としてあるのです。国名と同様に、公用語もそれぞれ英語とフランス語です。」

とありました!やっぱり!さらに「ウィキペディア」で「国名の由来」を検索すると、

『国名の由来は、国内を流れるニジェール川より。 ニジェール川の語源は、遊牧民トゥアレグ族により、この川がニエジーレン(n'egiren)「川」、またはエジーレン(egiren)「川」と呼ばれていたことによる。 これがフランス人に伝えられ、ラテン語で「黒」を意味するニジェール(niger)と転訛した。』

「黒」!「ニグロ」「ネグロ」か!

なんで「川」が「黒」になるのだろう?

でも、そうなんですね。調べてみるものだな。しかし、

「元々同じ」

とは言え、今は違う国なんですから、「国歌」や「国旗」を間違えてはいけません。(実はたまーに、こういうことはあるみたいですが)そういう細かい所(?)は気にしないのが、ブラジル人・カリオカなのかな?(こんなことを書くと、怒られそうですが・・・。)

(2016、8、15)

2016年8月16日 16:56 | コメント (0)

新・ことば事情

6130「地球の裏側・反対側・向こう側」

現在、オリンピックが行われている「ブラジル・リオ」。

日本から言うと、ちょうど「地球の反対側」「真裏」にあります。だから時差は「12時間」で、「昼と夜」、全く「逆」ですね。

お笑いコンビの「サバンナ」の八木さんのギャグで、地面に向かって叫ぶ、

「ブラジルの人、聞こえますかーーー!」

というのがありますが、まさにそういう位置関係なんですね。

昔は、そのブラジルのことを紹介するときに、

「地球の裏側」

と言っていましたが、この「裏側」「差別的である」と言われたためか、最近は、

「反対側」

と言うようで、「ミヤネ屋」のリオ五輪リポーターの藤村さんも「反対側」と言っていました。

また、東京キー局の女性アナウンサー5人が出ている「リオ五輪応援キャンペーンCM」では、

「地球の向こう側にエールを」

と言っていました。「向こう側」。「向こう」は「向こう」でも一番遠い「向こう側」ですが・・・。

「裏側」だと、

「どっちが『表』で、どっちが『裏』やねん!」

ということになりますが、こういう言葉を使う人にとっては、当然のように

「自分の所が『表』」

だと思っているわけで・・・。その昔、

「表日本・裏日本」

という表現がありましたが、最近は聞かれなくなりました。

グーグル検索では(8月16日)、

「地球の裏側」  =48万5000件

「地球の反対側」 =20万1000件

「地球の向こう側」=10万5000件

でした。あれ?でも「地球の反対側」と言うと、

「火星」

なんかがあったりするんじゃない???

(2016、8、15)

2016年8月16日 10:49 | コメント (0)

新・ことば事情

6129「『ハン・イン』か?『イン・ハン』か?」

リオ五輪・卓球女子団体 準決勝で日本が対戦したドイツ代表。たしかに「ドイツ人」という風貌の選手もいましたが、中に、

「どう見てもアジア人」

という風貌の選手も名前も、

「中国人風」

の名前です。彼女たちは「ドイツに帰化した中国人」、つまり、

「中国系ドイツ人」

なのです。まあ、日本の卓球代表にも、過去には「中国から帰化」した、

「中国系日本人」

選手がいましたから、この世界ではそんなに不思議なことではありません。

さて、その名前のカタカナ表記ですが、「中国人」であれば、日本人と同じように、

「名字+名前」

の順でいいのですが、今は「ドイツ人」なので、

「名前+名字」

の順になります。きょうの「ミヤネ屋」の放送のテロップチェックで、福原愛選手が負けた相手が、

「ハン・イン選手」(韓瑩, Han Ying

と出て来たのですが、これは「名字」の「ハン」は後ろにして、

「イン・ハン選手」

に直しました。略した場合は、

「ハン選手」

です。グーグル検索(8月15日)では、

「ハン・イン」=3970件

「イン・ハン」=1960件

「ハン・イン、卓球」=2930件

「イン・ハン、卓球」=1070件

で「ハン・イン」のほうが多かったのですが。「ハン選手」のユニフォームの背中には、

「Y.Han」

と書かれていました。(石川佳純選手の背中には「K.ISHIKAWA」)

ネット検索でメディアでは、

*「イン・ハン」=毎日新聞、東京スポーツ、北海道新聞、日刊ゲンダイ、NHK、

日刊スポーツ、中日新聞、中国新聞

*「ハン・イン」=産経新聞

なお、「朝日新聞」と「読売新聞」は、ドイツの選手の名前を出さずに「一番手」「三番手の選手」のように報道。「日経新聞」は、「ハン選手」と、フルネームを出しませんでした。

「イン・ハン」に地方新聞が多いのは「共同通信」からの配信記事を使っているからではないかと思われます。

(2016、8、15)

2016年8月15日 22:46 | コメント (0)

新・ことば事情

6128「中国人選手名のルビ」

リオ五輪、たけなわです。外国人選手もたくさん登場します。あまり聞いたこともない国の全然聞いたことが無い選手の名前に関しては、系列キー局の日本テレビが作成してくれた「選手名表記一覧表」があるので、それを参考にして、

「アレキサンダル」なのか?「アレキサンダー」なのか?

「ポリング」なのか?「ポーリング」なのか?

「バルラム」なのか?「ヴァルラム」なのか?

を決めることにしています。【正解は、全部後者=柔道の選手名】

そういった問題の一つに、

「中国人選手名の表記」

があります。ふだんは中国人名には、

「ルビは振らない」

のが原則で、「よっぽど難しい漢字」(中国の「簡体字」のように「今の日本の漢字」にはないもの)で、「読み方が分からなそう」なときにだけ、

「(日本語の)音読み・平仮名」

でルビを振ります。例えば、

「習近平(しゅうきんぺい)」「李暁霞(りぎょうか)」

のような感じです。(「習近平」には、ふだんルビは振りませんがね。)

しかし、「日本語の音読み」ではなく、

「現地読み」や「英語読み」

の場合には、漢字で書いて、

「カタカナでルビを振る」

ことになります。

「習近平(シージーピン)」「李暁霞(リーシャオシャ)」(=「LI  Xiaoxia」)

といった具合です。もしくは「漢字なしのカタカナ表記」です。

五輪では「両方のケース」が出て来ています。使い分けをするようにしています。

(2016、8、11)

2016年8月15日 20:43 | コメント (0)

新・ことば事情

6127「了解しました」

最近、

「了解しました」

という返事の言葉が、

「敬語ではないので、使ってはいけない」

という意見が出て来ているみたいで、正しい返事は、

「承知しました」「承知いたしました」

だとかいう論があるようです。

これに対して、早稲田大学非常勤講師で『三省堂国語辞典』編纂者の飯間浩明さんは、

「そんなことはない」

という論陣を張っています。私も、

「使ってもいいんじゃないの」

と思っていたのですが、最近読んだ『隠蔽捜査6 去就』(今野敏、新潮社)という「警察」を舞台にした本の中に「了解しました」が何回か出て来て目に留まったので、書き抜いておきます。

*『竜崎は田端課長に言った。「殺人のほうの指揮をお願いします。私と加賀管理官は、略取・誘拐のほうを追います。」田端課長が言った。「了解しました」』(90ページ)

*『「いいところに来た。殺人のほうの捜査について説明してくれ」「りょ、了解しました」』(184ページ)

*『「これからすぐに、ここを出る」「了解」戸高の発音は、「りょーーかい」というふうに間延びして聞こえた。竜崎が電話を切ると、すかさず伊丹が質問して来た。』(201ページ)

*『「近くで待機していてくれ。必要になったら連絡する」「了解しました」』(204ページ)

*『伊丹が加賀管理官に言った。「(中略)事態は急を要するんだ。あらゆる手段を講じてくれ」(中略)加賀管理官の表情が引き締まった。「了解しました」彼は、管理官席に戻った。』(246ページ)

*『竜崎が言った。「(中略)母親に、彼が無事だということを知らせてやってくれ」「了解しました」』(248ページ)

*『一方、根岸はやる気満々だった。「了解しました。お任せください」』(253ページ)

ということで、警察では上司に対する返事として「了解しました」は、普通に使われていると考えてよさそうですね、この小説によるとですが。

(2016、8、10)

2016年8月12日 12:13 | コメント (0)

新・ことば事情

6126「スマホとiPhone」

同期のI君が近づいて来て、

「ねえねえ、『スマホ』と『iPhone』の区別は、どういう点で分けるの?」

と聞かれたので、

「『スマホ』はスマートフォン全体の『一般名詞』で、その中の『アップル社のスマホ』の『固有名詞』『商品名』がiPhoneじゃないの?」

と答えました。するとI君は、

「最近、女子高生なんかは『iPhone』は『iPhone』と呼んで、それ以外のスマートフォンを『スマホ』と呼んでるみたいなんよ」

「えー!そうなの?『ガラケー』じゃない、画面を指で操作する携帯電話端末はみんな『スマホ』だと思ってた!」

「日本は、世界的に見ても『iPhone』の普及率が異常に高いから、そういう区分になって来ているのかもしれないね」

という話でした。

ただ、日本の「スマホ」の普及率は、実はまだ「50%」を、こないだ超えたばかりで、ほぼ半数の人は「ガラケー」を使っているわけで、必ずしもそういった呼び方が一般的だとは言えないのだとは思いますが。

で、ここで問題は、

「I君が、なぜ女子高生の呼び方を知っているか?」

ということですね。

(2016、8、10)

2016年8月11日 21:11 | コメント (0)

新・ことば事情

6125「愛妹」

リオ五輪でアテネ以来12年ぶりに「体操男子団体」で金メダルを獲得した内村航平選手の妹・春日(はるひ)さんが、8月9日の「ミヤネ屋」に、地元長崎から中継で主演してくれました。その彼女を指したサイドスーパーで、

「愛妹」

という言葉が。

「そんな言葉、あるんですか?」

と、Tディレクターが聞いて来たので、

「うーん、あんまり見たことないけど意味は分かるし、文字数(スペース)の制限がきついサイドスーパーだから、まああいいかなあと思って、そのまま通した。」

と答えました。

「愛○○」という言葉で「まな」と読む言葉では、

「愛弟子」「愛娘」「愛息子」

あたりがありますが、「愛妹」はあまり目にしません。

また、「あい」と読む言葉では、

「愛妻」「愛息」「愛犬」「愛猫」「愛鳥」

等があります。「愛」ではない言葉が頭に付く「兄弟」を考えると、

「賢弟」「愚兄」「愚息」「愚妹」

などの表現があるので 音読みで「あいまい」とする「愛妹」なら「許容」かなあと思って、そのまま出したのです。放送後にグーグル検索してみたら(8月9日)、

「愛妹」=22万0000件

「愛弟」= 5万2300件

「愛兄」= 1万9400件

「愛姉」= 2万0200件

 でした。その中で「愛妹」は何と読むのか?という「ヤフー知恵袋」によると、

*(Q)「愛妹」←これはなんて読むのでしょうか? 普通に「あいまい」でよろしいのでしょうか??

*(A)今調べたら「まないもうと」と出てきました。また検索候補でも「まないもうと」と打つと愛妹が候補に出てきます。

と記されていました。

また「愛弟」は国木田独歩の作品に、

「愛弟(あいてい)通信」

という作品がありました。

「愛兄」は、江戸中期の狂言本で、

「愛兄(あいきょう)隅田川」

という作品名が出て来ました。(ただ、トップに出て来たのは「福原秀行」という名前。誰なんだろう?と思ったら「(福原)愛の兄」でした・・・。)

「愛姉」は、あまり出て来なかったです。

「愛妹」が許容かどうか、結果は、

「あいまい」

なようで・・・。

(2016、8、10)

2016年8月11日 18:10 | コメント (0)

新・ことば事情

6124「3000安打か?3000本安打か?」

日本時間の8月8日、メジャーリーグ「マイアミ・マーリンズ」のイチロー選手が、メジャーリーグ通算「3000安打」を達成しました。史上30人目だそうです。本当は、イチロー選手は、日本のプロ野球でもヒットを打っていますから、ピート・ローズ氏に、

「高校の記録を足したら、俺ももっと多い」

と言われても、「他の29人の3000安打達成者」と同列なのかなあ?と、ちょっと疑問に思いますが。

それにしても、このところ今か今かと、皆、待ちわびていて、「ついに!」という感じです。

さて、「ミヤネ屋」では、

「3000安打」

と伝えましたが、NHKは、

「3000本安打」

と、「本」が入っていました。また、テレビ朝日も「3000本安打」と「本」が入っていました。

各紙夕刊の見出しを見てみると、「読売・朝日・毎日・産経・日経」の5紙は、全て一字一句変わらぬ、

「イチロー 米3000安打」

で、「本」が入っていませんでした。(日経のみ「縦書き」の見出し)

ただ、本文とリードに目も向けると、こちらは「縦書き」なのでちょっと事情が違って、

(朝日・産経)「3千安打」

(読売・毎日・日経)「3000安打」

と、朝日と産経が「千」という「漢数字」を使っていました。(その数日後の「日経新聞」も、本文の縦書きで「3千安打」と「千」を使っていました。)

メジャー16年目、42歳となったイチロー選手の短い髪の毛はだいぶ白くなっています。降る雪に・・・という感じですね。記録も降り積もったのでしょうね。

その意味では、単なる「単位としての『千』」ではなく「たくさん」という意味の、

「『千尋』の『千』」

として漢数字を使うのも、いいかもしれません。

ただ、これもイチロー選手にとっては「通過点」なのでしょうね。

ともあれ、おめでとうございます!

平成ことば事情5102「2000本安打か?2000安打か?」もお読みください。

(2016、8、8)

2016年8月11日 13:09 | コメント (0)

新・ことば事情

6023「朝ラッシュ時間帯」

ことしの3月2日のことです。

京阪電車で通勤していると、車内放送がこう流れました。

「この電車は朝ラッシュ時間帯のため、補助いすの使用は中止しております。」

この中の、

「朝ラッシュ時間帯」

という言葉が、新鮮に感じられました。昔は、

「通勤ラッシュ」「ラッシュアワー」

と言いましたが、特に最近この、

「アワー」

という言葉(英語)は、耳にしませんね。ジャッキー・チェン主演の映画で、

「ラッシュアワー」

というのがあったけど、あれは何年だったかな?(検索したら「1998年」でした。2001年に「ラッシュアワー2」、2007年には「ラッシュアワー3」も公開されていました。)

そういえば、去年でしたっけ?おととし?(→おととしでした。月日が経つのは早い・・・)終わった、タモリさん司会のフジテレビの長寿番組、「笑っていいとも!」のタイトルの頭にも、

「森田一義アワー」

と「アワー」が付いていました。「アワー」は「英語だけど日本語」のような存在、つまり、

「外来語」

だったのですが、最近、聞かない感じがします。「死語」になってしまったのでしょうか?

高齢化が進み人口が減って来て、電鉄会社も、

「通勤定期購入者が、減少している」

と聞きます。

「ラッシュアワー」

という言葉も、そういった「世の中の流れ=人口減少」に伴って、消えて行く言葉なのかもしれません。

(2016、8、9)

2016年8月10日 12:18 | コメント (0)

新・ことば事情

6122「塩対応」

8月3日の「ミヤネ屋」」で紹介した、小池新都知事に対する自民党東京都議団の対応を指して、

「塩対応」

とテロップで出しました。何となく雰囲気はわかりますが、私は普段、使わない言葉です。

『現代用語の基礎知識2016』を繙いてみると、の「若者言葉」の項目に載っていました。

*「塩対応」=冷たい対応、そっけない応対。人への対応が冷たいことを指す。

説明もそっけない。

で、この「塩対応」の「反対語」は?というと、

「神対応」

です。この言葉は聞いたことがあります。でも、ちょっと違和感が。『現代用語の基礎知識』にも「神」は載っていますが、「神対応」は載っていません。ちなみに「神」は、こう書かれています。

*「神」=何かのレベルが神の領域であり、超すばらしいこと。「あの歌は神」。

そこから考えると「神対応」は、

「対応が"神"のようである」

ということになりますね。「塩対応」が、その「反対語」であるならば、その文面からの意味は、

「対応が"塩"のようである」

となってしまいますね。なんや、その「塩のような対応」って・・・と思うわけです。

しかも「塩対応」がなぜ「そっけない対応」の意味になるのか?もわかりません。

「なめぐじに塩をかけると、溶けてしまうような感じ」

「『青菜に塩』のように、ヘナヘナしてしまう感じ」

なのか、それとも、

「塩はしょっぱいので『しょっぱい対応』」

という意味なのか、よく分かりません。

ま、いずれにせよ、私は使わない言葉ですが。

(2016、8、8)

2016年8月 9日 18:46 | コメント (0)

新・ことば事情

6121「第3次安倍再改造内閣」

8月3日、「第3次安倍再改造内閣」が発足しました。安倍首相を入れると、閣僚(大臣)は「20人」。これが「法律で決められた上限」の人数です。

さて、その内閣の名前、

「第3次安倍再改造内閣」

ですが、「第1次安倍内閣」は「2006年9月26日」からの約1年間です。参院選挙の敗北の後、体調を崩して辞めましたね。

そして2回目の総理大臣の座に就いたのが「2012年12月26日」で、ここからが「第2次安倍内閣」です。

さらにその後、「衆議院を解散」して大勝利の後に組閣したのが「2014年12月24日」からの「第3次安倍内閣」。

その後「衆議院選挙」を経ずに「2015年10月27日」に行った「内閣改造」によって「第3次安倍改造内閣」が発足。

そして今回の「内閣改造」ですが、これも「衆院選」を経ていないので「第4次」とはならず、「第3次」のままで、

「"再"改造内閣」

になります。「第○次」という場合は、「総理大臣の第○代」と同じで、安倍首相の場合は、

「第90代・96代・97代」

の総理大臣ということになります。

今後また同じように「内閣改造」をした場合に「再々改造内閣」とするか、「再々」も「再」には変わらないので「再改造内閣」のままかは、そのときの状況によって違う(社・局によって違う)と思います。

ちなみに、過去に「第3次内閣」以上、総理大臣を続けたのは、

*【第5次】=1人

吉田茂(第45・48・49・50・51代)=7年2か月

*【第4次】=1人

伊藤博文(初代・第5・7・10代)=7年6か月

*【第3次】=8人

桂太郎(第11・13・15代)=7年10か月

近衛文麿(第34・38・39代)=2年10か月

鳩山一郎(第52・53・54代)=2年

池田勇人(第58・59・60代)=4年3か月

佐藤栄作(第61・62・63代)=7年8か月

中曽根康弘(第71・72・73代)=5年

小泉純一郎(第87・88・89代)=5年5か月

安倍晋三(第90・96・97代)=※4年7か月(2016年8月4日現在)

以上の10人です。安倍首相の祖父・岸信介元首相は「第2次」内閣(=3年5か月)しか率いませんでした。

(2016、8、4)

2016年8月 7日 12:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6120「副反応と副作用」

7月28日の「ミヤネ屋」で「子宮頚(けい)がんワクチン」の健康被害に関する訴訟のニュースを取り上げました。その中で出て来た、

「副反応」

という言葉。いわゆる、薬の、

「副作用」

ですが、「予防接種」の「ワクチン」に関しては「副反応」という言葉が使われるようです。

今回、日テレ・読売テレビは「副反応」という言葉を使っていますが、新聞は、

*「読売・朝日・毎日」=「副作用」

*「産経」=「副反応」

でした。(「日経新聞」の28日の朝刊には「健康被害」という言葉しか出て来ませんでした。)

また、原告側の訴状でも

「副反応」

という言葉を使っていたとのことです。「ワクチンによるもの」と判断すれば、

「副反応」

でしょうし、「ワクチンによるものではない」という立場だと、

「『副反応』という言葉は使わない」

ということになるのでしょうね。

『広辞苑』には、

*「副作用」=医薬の一定の作用を利用して治療しようとするとき、それに伴って、治療の目的にそわないか、または生体に不都合な作用が起こること。また、その作用。

と載っていましたが「副反応」は載っていませんでした。『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『旺文社標準国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』にも「副反応」は載っていませんでした。

『三省堂国語辞典』は、さすが新しい言葉をいち早く取り上げるだけあって、載っていました。

*「副反応」=薬やワクチンを使ったときに起こる、正常でない反応。(例)発熱。

*「副作用」=薬やワクチンを使ったときに起こる、目的に合わない悪い作用。(ワクチンの場合、正式には「副反応」と言う)

ということです。

(2016、7、29)

2016年8月 6日 12:27 | コメント (0)

新・ことば事情

6119「『うまい』を平仮名で書く理由」


「うまい」

という言葉を漢字で書くと、「上手だ」という意味では、

「上手い」

そして、料理のなどの味が「おいしい」という意味では、

「美味い」「旨い」

等と書くことがあります。どう書いても中学生以上ならば読めるとは思いますが、これらは新聞・放送のニュースでは全て「平仮名」で、漢字は使わずに、

「うまい」

と書くことになっています。報道以外の番組では「旨い」「美味い」「上手い」も使われているとは思いますが。

誰でも読めるのに、なぜ漢字で書かないのか?ちょっと気になっていました。

もちろん、

「常用漢字表に、読み方が載っていないから」

というのはわかりますが、載せたらいいし、実は、常用漢字表に載っていなくても、

「日本新聞協会の新聞用語懇談会が『ルビなしで使って良い』としている『常用平易な読み方』」(=「新聞常用漢字」)

というのもあるので、これなんか該当するんじゃないかなと思うんですけど、きのう、その理由をハタと思い付きました。つまり、こういうことじゃないかな。たとえば、

「料理がうまい」

という場合には、

(1)おいしい

(2)作るのが上手

の「2通り」があり、それによって、

(1)美味い

(2)上手い

と使い分けなくてはならないが、

「文脈からだけでは、区別がつきにくいこともある」

ので、そういったことに配慮して、「平仮名で書く」ことになっているんではないか?と。また「おいしい」の意味の「うまい」も、「美味い」「旨い」の「2通り」あって、それをどう使い分けるのか?「基準が無い・恣意的である」ことから、

「どちらも使わない」

ことにしたんじゃないのかなあと、思い当ったわけです。

忘れないように書いておきます。

(2016、8、4)

2016年8月 5日 16:25 | コメント (0)

新・ことば事情

6118「競争」

平川克美さんの『一回転半ひねりの働き方~反戦略的ビジネスのすすめ』(角川新書)という、ちょっと、こ難しい本を読んでいたら、こんなことが思い浮かびました。

「回りくどい言い方、哲学的言い方をすれば、『競争』とは『単位時間あたりの量の最大化』。それを求める過程が『加速=スピード化』」

「『単位時間当たりの距離』=『スピード』、そしてその『増大』が『加速=increasing』」

と、まあ、そう思いついたので、書き付けておきます。

(2016、8、4)

2016年8月 5日 11:46 | コメント (0)

新・ことば事情

6117「すけのなる」

8月2日の「関西情報ネットten.」で、大阪の「西武八尾店」の閉店が決まったというニュースをやっていました。

その報道を聞いた地元の人へのインタビューで、70代ぐらいと思われる女性が、

「ビックリしました」

と。その後、こう続けました。

「でも最近は、お客さんも"すけのなりました"なあ」

と言っていましたが、この、

「すけのなる」

というのは、「『少なくなる』の促音便」

「すくのうなる」

が、また「関西訛り」になっているということです。

まあ、最近は、「すけのなる」と言う人が、

「すけのなりました」

なあと思いました。牧村史陽の『大阪ことば辞典』にも、

*「すけない(少ない)」=すくないの行訛。(例)スケナイ月給で、ようやりくりしてはる。

と載っていました。

(2016、8、2)

2016年8月 3日 12:38 | コメント (0)