新・読書日記 2016_111
『熱狂する「神の国」アメリカ~大統領とキリスト教』(松本佐保、文春新書:2016、6、20)
この間読んだ『中傷と陰謀~アメリカ大統領選狂騒曲』(有馬哲夫、新潮新書:2004、10、20=2016読書日記092)とも重なる部分もあるので、内容的にはわかりやすかった。大統領選挙だけでなく、その「ベース」にある「アメリカのキリスト教」についての理解が深まる一冊。アメリカには、一口に「キリスト教」と言ってもいろんな種類があって、中には憎み合っている宗派もあると。そして有権者がどの宗派の信者が多いか、大統領候補はどうか、それによって、どういった戦略を取るのか?といったことが記されている。
そもそもヨーロッパのキリスト教の専門家ではあっても、アメリカのキリスト教の専門家ではなかった著者。ヨーロッパ、特に英国においては、キリスト教信者と言ってもそんなに敬虔ではないのに(「カトリック」から離れるために=離婚するために、国王が「英国国教会」を作ったのだから)、アメリカ国民の多くは毎週日曜日に教会に通ったり、ご飯の前にお祈りをしたりする。それを不思議に感じた著者は、アメリカのキリスト教と大統領選挙を結び付けて書いた。
最初のほうに、歴代アメリカ大統領と2016年大統領選の候補者たち(※)の「宗派」が書かれている。
*米国聖公会(エピスコパリアン)
・フランクリン・ルーズベルト(第32代・民主)
・フォード(第38代・共和)
・ブッシュ・ジュニア(第41代・共和)
*長老派(プレスビテリアン)
・アイゼンハワー(第34代・共和)
・トランプ(共和)※
*バプティスト(洗礼派)
・トルーマン(第33代・民主)
・カーター(第39代・民主)
・クリントン(第42代・民主)
・クルーズ(共和)※
・ハッカビー(共和)※
*メソジスト
・ブッシュ・ジュニア(第43代・共和・合同メソジスト)
・ヒラリー・クリントン(民主・メソジスト)※
*ディサイプルス
・ジョンソン(第36代・民主)
*クエーカー
・ニクソン(第37代・共和)
*キリスト連合協会
オバマ(第44代・民主)
*カトリック
・ケネディ(第35代・民主)
・ジェブ・ブッシュ(共和)※
・サントラム(共和)※
・ルビオ(共和)※
だそうです。複雑なんですねえ。ブッシュ・ジュニアとヒラリー・クリントンは、同じ宗派なんだ!トランプはアイゼンハワーと同じ宗派なのか!ブッシュ家は、父親と息子2人で、3人とも宗派が違うんですね!
民主も共和も、宗派で別れるわけではなく、同じ宗派の中にも民主支持の場合も、共和支持のものあるんですね。うーん、ややこしい。でも、勉強になりました。
あれ、ちょっと待てよ、民主党でヒラリーと最後まで候補を争ったサンダースは?社会主義だから無宗教?