新・ことば事情
6109「模試のアクセント2」
平成ことば事情6102「模試のアクセント」の続きです。スクラップを探していたら、昔の資料が出て来ました。もう20年近く前ですが、「1997年11月19日」の「ことば会議室」という「掲示板」での議論をプリントアウトしたものです。
そこでは、増田健一郎さんという名古屋出身の方が「摸試」のアクセントについて、
「自分は『ポ\チ』と同じように『頭高アクセント』で『モ\シ』と言っているが、東京の人は『虫(ム/シ)』と同じような『平板アクセント』で『モ/シ』と言っているようだが、関東・関西で違うのか?」
という疑問を提示しています。それに対する意見は、
「関東と関西の違いだと思う。埼玉県出身の37歳だが『ポ\チ』と同じ『モ\シ』だった。『平板アクセント』の『モ/シ』となるのは最近の傾向。『ア/ムラー』『シ/ノラー』なども『平板アクセント』。」
というsatopyさんのご意見。「アムラー」「シノラー」が、時代を感じさせますなあ。
そして、
「『平板アクセント』の『モ/シ』は新しい形ではないか。『サ/ーファー』『カ/レシ』なども『平板化』しており、最近、妙なアクセント(平板アクセント)の『カ/ナリ』も気になって仕方がない」
というのはTerryさん。
これに対して、この「ことば会議室」主宰の岡島昭浩先生(当時・福井大学、現在・大阪大学)が、
「これは『専門家アクセント』の一種だろう。元々『頭高アクセント』だった『電車(デ\ンシャ)』『映画(エ\ーガ)』が『デ/ンシャ』『エ/ーガ』などと『平板アクセント化』したのと同じで、最近では『日本史(ニ/ホン\シ)』も『ニ/ホンシ』という平板化が進んでいる。『摸試(モ/シ)』も、その一種だろう」
そして、小矢野哲夫先生(当時・大阪外国語大学)からは、
「今日、学生に聞いてみました。結果は、
『モ\シ』(頭高アクセント)= 6人
『モ/シ』(平板アクセント)=17人
やっぱり『専門家アクセント』の傾向は、ありそう。ちなみに、僕(48歳、鳥取・倉吉市出身)は、『頭高アクセント』の『モ\シ』で発音する。最近気になる『平板アクセント』には『カ/ナリ』がある。『非情に』の意味で使っているようだ」
ということで、この手の「平板アクセント」は、「カ/ナリ」前から使われているようですね。
ちなみに、報道フロアですれ違ったうちのアナウンサー4人に聞いてみたところ、
*「50代男性アナ・2人」=「モ\シ」
*「20第女性アナ・2人」=「モ/シ」
と真っ二つに割れました。