新・ことば事情
6093「三井ダイレクト損保のアクセント」
俳優の仲村トオルさんが出ている損保会社のCMに目が留まりました。損保会社のセールスマン(?)である中村さんが、街中で携帯電話をかけていて、そこで自分の会社の名前である、
「三井ダイレクト損保」
の「アクセント(イントネーション)が違う!」ということを、電話相手に説明しているというものです。仲村さんは、
「ミ\ツイ・ダ/イレクトソ\ンポ」
ではなくて、
「ミ/ツイダイレクトソ\ンポ」
だと力説しているのです。「2語」ではなく「コンパウンドした1語」なんですね。
私なら、「2語」で発音するところですが、「コンパウンドした1語」だというのは、
「全体で一つの言葉」=「社会に認識されている」
ということをアピールしようと意図しているのだと思います。
ネット検索してみると、今月1日から放送されている新しいCMのようで、
「イントネーションは"こうだ!"篇」
と名付けられているようです。ホームページから引用してみると、
【イントネーションは"こうだ!"篇】
男が三井ダイレクト損保の良さを一生懸命に伝えようとしていますが、電話の向こうで後輩が発する「三井ダイレクト損保」のイントネーションが気になるようです。
電話越しにも関わらず全身を使って、三井ダイレクト損保のイントネーションは"こうだ!"と「熱く」伝えようとする仲村さんのコミカルな演技が光ります。
ということだそうです。
「アクセント」や「イントネーション」をメインに据えたCMで思い出されるのは、もう40年以上前になるかもしれませんが(調べたら1974年でした!)、松下電器(現・パナソニック)のカラーテレビ、
「クイントリックス」
のCM。外国人相手に、日本人のおじいさん(坊屋三郎)が、1音1音、区切るように、
「く・い・ん・と・り・っ・く・す!言ってごらん!」
と新商品の名前を「8音節」で言うと、相手の外国人が、
「クイントリックス!」
と早口で「2音節」で言ってしまうので、おじいさんが、
「英語で言ってごらんよ、く・い・ん・と・り・っ・く・す、だよ!」
と"発音指導"をして最後に、
「外人だろ、アンタ」
と言う、ユーモラスなものでした。その間に「商品名」を視聴者に印象付けるという「連呼型」のCMです。あのパターンだな、この仲村さんのCMは。
当時はまだ「外人」という言葉が、テレビで普通に使われていたんだなあ。今は「外国人」ですねえ。