新・ことば事情
6087「『検挙』と『逮捕』」
林マオ・アナウンサーから質問を受けました。
「『覚醒剤での検挙者数』のグラフが出て来るんですが、『検挙』と『逮捕』は、どう違うんでしょうか?」
良い質問ですねえ。こういうときは、読売新聞社『読売スタイルブック2014』の「法令関連用語」の欄です。さっそく引いてみました。
*「検挙」=法律用語ではないが、警察内部で使われる「逮捕と任意取り調べ(その後の書類送検も含む)を引っくるめた総称」。
そして、
『記事では「5人を逮捕、3人を任意で調べた」と書き、「8人を検挙」とはしない。ただデモなどの際、警察署ですぐ釈放する者も含めて連行した場合、「検挙○○人」と発表することがあり、逮捕者数がすぐにはわからないときは、使用もやむをえない。』
とありました。「逮捕」は、警察が裁判所に「逮捕状」を請求して、OKが出たら、容疑者の身柄を拘束するが、逮捕状を請求するまでもなく「任意で取り調べ」のためにしょっ引いても「検挙」の数には入るということですね。そういう疑いを持たれる人ですから、「クロ」ではないにしても「限りなくクロに近いグレー」の関係の人の数、ということになりましょうか。
『日テレ放送用語ガイド2011』には、こう載っています。
『検挙=捜査機関が容疑者を特定する捜査行為のこと。容疑者を逮捕した場合だけではなく、任意で調べた場合(その後の書類送検や微罪処分も含む)を含めた総称。原稿では、一つの少年事件で「逮捕された者」と「補導された者」、「非行事実で児童相談所に通告された者」がいる場合に、「危険な運転を集団で繰り返したとして、警視庁は少年○人を検挙しました」と使う。また、交通違反の一斉取り締まりの場合に、「初日の出暴走の一斉取り締まりで、警視庁は○人を検挙しました」と使う。』
とあります。