新・ことば事情
6080「一生、上がらない」
保険のコマーシャルでよく、
「保険料が 一生、上がらない」
というコメントがあります。
これって「安心」な感じがしますね。普通に考えると、
「年齢と共に死ぬ確率が高まる」
訳ですから、「生命保険」の場合、保険会社としては、
「年齢が上がるにつれて保険料を高くしないと、モトが取れない」
と思いますね。それなのに「一生 保険料が上がらない」と聞くと、
「とても、お得な感じ」
がします。しかしよく考えると、この言葉のウラには"もう一つの意味"があります。それは、
「死ぬまで、保険料は下がらない」
ということです。または、
「死ぬまで、保険料を払い続けなければならない」
ということです。もちろん、コマーシャルですから、「死ぬまで」なんて、ちょっと縁起の悪い言葉は使いません。
「死ぬまで」→「一生」
と言い換えられています。イメージとしては、
「ずっと」
になります。そう考えると、
「果たして、死ぬまでずっと払い続けられるだろうか」
「死ぬまでずっと払い込まなくても、保障だけが死ぬまでずっと続く保険は、ないものか?」
などと、都合のよい考えが、頭をもたげてきたりもします。