新・ことば事情
6068「『施策』の読み方」
ことし3月24日のテレビ朝日「報道ステーション」で、昭和21年(1946年)の金森徳治郎・憲法担当大臣の映像なども出て来た中で、VTR出演していた蝋山政道・お茶の水女子大教授が、こう話していました。
「明治政府の施策(せさく)が間違っていた」
この「施策」という言葉を、
「せさく」
と言っていたのです。放送ではこれは、
「しさく」
と読むことになっていますが、政界界隈ではよく、
「せさく」
と言われます。たぶん「しさく」と言うと、
「試策」
のように思われるからではないでしょうか。
「施策の読み方」
でネット検索をしてみたら、トップに出て来たのは、
『施策の読み方、「しさく」と「せさく」?』
というもの。それによると、
「正しい読み方は『しさく』で、『せさく』は慣用読み。」
『行政用語で「施策」を『せさく』と読むことが多いからかもしれない。『しさく』の同音類義語には『試作』『思索』もある。そのため行政では、それらの意味取り違えのないように『せさく』と読む場合があるようだ。』
「文化庁による平成15年度『国語に関する世論調査』によると『しさく』と『せさく』、ふだん、どちらで読むことが多いかという調査では、『しさく』が67,6%、『せさく』が26,1%という結果だった」
ということでした。
やはり、業界の読み方が広がることで、正しい読み方がだんだん隅に追いやられることもあるのだなという気がしました。