新・ことば事情
6065「初の女性大統領候補」
アメリカ大統領選挙で、ヒラリー・クリントン氏が6月7日、民主党の大統領候補者指名を確実にしました。「女性」が「大統領候補」になるのは史上初めてです。
このニュースを報じた6月8日の新聞各紙夕刊の紙面から、
「女性として初めての大統領候補」
ということに関する表現を拾ってみると、
(見出し) (本文)
(読売)米大統領選「初の女性候補に」 初の女性大統領を目指し
(朝日)2大政党初の女性候補 2大政党で初めて女性の指名候補となり
(毎日)******** 女性が初めて主要政党で指名候補になりました
(産経)「初の女性大統領に」 初の女性大統領を目指す決意
(日経)「史上初の女性候補」 女性として初めて大統領候補となる
というものでした。
私が着目したのは、
「初の女性大統領候補」
なのか、それとも、
「女性初の大統領候補」
なのか、ということです。
さっき、日本テレビの6月8日「every.」では、
「初の女性大統領」
と女性アナウンサーが原稿を読んでいました。また「ミヤネ屋」の「ニュース250」のコーナーのテロップも、日本テレビは、
「初の女性大統領候補」
と出てましたが、読売テレビから出すテロップなどは、
「女性初の大統領候補」
にしました。これはちょうど8年前、オバマ大統領が大統領選挙を戦っていた時に、
「『初の黒人大統領』か「黒人初の大統領」か」
という表現の違いが問題になったことがありましたが、おんなじ問題ですよね。・・それについては「平成ことば事情4923 初の黒人大統領」に書いてあります。
グーグル検索では(6月8日)
「初の女性大統領」=5万6400件
「女性初の大統領」=1万1400件
で、「初の女性大統領」のほうが5倍ほど多いんですね。よく考えると、
「初の女性大統領」
も、
「初の女性の大統領」
の、
「後ろの『の』」を省略した形」
と考えれば、全然間違いではないんですけどね。