新・ことば事情
6064「三と四」
世の中には、
「三大祭」「三大名園」「三大名所」
のように、
「三大○○」
と呼ばれるものがたくさんあります。その一方で、
「四天王」「四神」
のように、
「四○○」
というものもあります。「三」にせよ、「四」にせよ、収まりが良い数字なんですね。これに関して、ふと思いつきました。
「三」=東日本に多い?=キリスト教由来?
「四」=西日本に多い?=仏教由来?
ではないかと。特に根拠はありませんが、キリスト教で「三」と言うと、
「三位一体」
を思い浮かべます。「四」の「四神(しじん)」というのは、
「玄武・白虎・朱雀・青竜」
で、「色=方角=季節」をも表しますね。中国由来。
そして、キリスト教=西洋=「三」というと、「ワルツ」、そしてこの「三拍子のリズム」は、
「騎馬民族(?)由来」
ともよく言われます。それに対して、「四拍子」は、
「農耕民族由来」
というのも聞いたことがあります。本当かどうかはわかりませんが。以前「日本の唱歌」を調べたことがあって、その際に、
「三拍子の曲が少ない」
というのが分かったことがありました。(「平成ことば事情179ニジューニーテン・ゴーゴー」参照。2000年10月に書いています。)
それによると、『日本語研究所』(城生佰太郎=じょうお はくたろう、日本実業出版社刊)という本の中で城生先生は、
「日本語のリズムは基本的に四拍子からなっています」
と書いていて、私はそれを裏付けるべく、家の本棚にあった「日本の唱歌(上)明治篇・金田一春彦・安西愛子編(講談社文庫)」に載っていた163曲について調べてみたのです。
そうすると、163曲中、ほとんどは「4分の4拍子」か「8分の4拍子」、あるいは「4分の2拍子」で、それ以外の「4分の3拍子」か「8分の6拍子」という"3拍子系"のものは、わずかに20曲しかありませんでした。また、そのうち外国の曲(民謡や外国人が作曲したもの)が12曲。作曲者未詳のものが2曲で、日本人が作曲したものはたったの6曲だけだったのです。(その6曲の曲名は「港」(吉田信太作曲)、「美しき天然」(田中穂積)、「妙義山」(田村虎蔵)、「二宮尊徳」(田村虎蔵)、「敦盛と忠度」(田村虎蔵)、「昼」(弘田竜太郎)です。)
そして、私はこう締めくくっています。
「よく、欧米は3拍子=ワルツができるのは狩猟民族で馬に乗っていたから(パカパッ、パカパッ)、日本人は農耕民族で畑を耕す動きは「ヨイショ、ヨイショ。」と2拍子なので、頭の拍が強い2拍子が得意。ヤーレン、ソーランソーラン、ソーラン、ハイ、ハイ!となるのだ・・・などといわれますが、確かにそうなのかもしれません」
やっぱり「四拍子」なんですよね。そしてそれは、農業の作業のリズム・鍬で畑を耕すリズムではないかと。
明治維新前までは「四(拍子)」で、明治維新以降、欧米の文化が入って来て「三(拍子)」が増えたのではないか?と思うのです
そういう目で見ると、なんか、「三」と「四」に関しても傾向があるのかもしれません。ちょっと今後、気にして、見てみることにします。