新・ことば事情
6059「熊本地震での同音異義語」
4月14日夜の熊本地震の発生から2週間が過ぎました。4月28日正午現在、亡くなった方49人、行方不明1人、震災関連死された方も16人。いまだに約3万6000人が避難生活を過ごしていらっしゃいます。謹んで哀悼の意を表します。
さて、その熊本地震のニュースをお伝えする中で気になった「同音異義語」について書きます。
*「収束」か?「終息」か?
「事態が収まる・落ち着く」意味では「収束」を使います。こちらのほうが、出現回数は多いでしょう。今回は、「地震のシュウソク」ということだったので、「終わる」意味の「終息」を使いました。しかし、地震に伴う避難生活や生活の安定(休みだった学校が始まるとか)など、一連の「震災」について述べるのであれば「収束」のほうがふさわしいと思いますので、文脈によって使い分けます。
*「体制」か?「態勢」か?
「24時間タイセイで捜索しています」という場合の「タイセイ」は、「体制」か?「態勢」か?「体制」は「システム・組織」のことを指すので、来るかもしれない地震に備えて「体制を整えています」という場合は「体制」です。その「体制」が、たとえば「3交替で24時間」にわたるものであれば「24時間体制」でしょう。しかし今回は、既に人員を投入して「捜索を行っている」ので、こういった場合は「24時間態勢で捜索している」と「態勢」を使います。
24時間態勢で対応に当たっていらっしゃる皆様に敬意を表し、一日も早い地震の終息と事態の収束を願います。