新・ことば事情
6050「森と林」
ふと、疑問に思いました。
「なぜ『林業』と言うのか?」
「森業」でも「木業」でもないのか?
ふーむ。
自分で思いつきながら、確かに不思議。でもそれは「林」と「森」と「木」の違いに着目すれば良い。全然関係ないけど、わが読売テレビ・アナウンス部には、「森」もいるし「林」もいます。
まず「木」ですが、これを扱う仕事の名前としては、
「製材業」
があり「材木」を扱っていますね。「木」単体では「業」と名乗るには物足りない。
そうだ、「林業」は、
「木を植える仕事」
だ!つまり
「植林」
をすると。「植林」てのも、よく考えたらちょっとおかしい。植えるのは、
「木の苗」
であって「林」を植えるのではない。でもそれは、
「お湯を沸かす」
みたいな話で(「水」を沸かすので「お湯」を沸かすのではない!と言う人がいるんです)、「結果として林をとなる木を植える」ということなのだろうな。そうすると、見えて来ましたよ。「林」は、人間がコントロールして活用するために木を植えて、それをコントロールする、つまり、
「木の田んぼ」
みたいなものなのですね。それに対して、「森」は、原則的には、
「自然のまま、木が生えた山」
という感じですかね。「雑木林」なんてのは、「コントロールされていない」ですけど。
文豪「森鴎外」の本名の、
「森 林太郎」
なんてのも、自然の「森」(名字)を、「林」にコントロールするような意味があったのかな?そういえば昔「ミヤネ屋」のスタッフで、一見「大林(おおばやし)」に見える、
「木林(きばやし)」
という名字の人がいたけど、「森」じゃないのね、「木林」は。