新・ことば事情
6049「焼死体」
5月19日、岩手・盛岡市の火災で2人の遺体が見つかった事件で、当初「ミヤネ屋」の原稿などに、
「焼死体」
という言葉が出て来ましたが、
「遺体」
に直しました。理由は、
(1)「焼死体」「溺死体」等の言葉でイメージされる状態が悲惨なので。(『放送で気になる言葉2011』40ページで、「焼け死ぬ」「溺れ死ぬ」という言葉に関しては「苦しむ様子を生々しく連想させるほか、冷酷な表現と受け取られる恐れもある」として「注意して使いたい言葉」になっていますが、それに準じる。)
(2)「焼死体」という言葉からは「死因」が「焼け死んだ」ように思えるが、「別の原因で死んだ後に焼かれた」のかもしれないので、「焼死体」とひとくくりにすることに疑問。
といったことです。
なお、この日のお昼のニュースでは、「日テレ」(本記部分は現地・テレビ岩手の原稿・ナレーション読み)と「フジテレビ」は、
「焼死体」
を使っていましたが、「TBS」は使っていませんでした。
夜、日本テレビの「every.」や、NHKの夜「7時のニュース」でも、
「焼死体」
という表現は使っていませんでした。
5月19日の夕刊各紙は、
【見出し】 【本文】
(読売)住宅全焼 庭に他殺体 1階からは全身が焼けた性別不明の遺体 殺人・放火か 屋内にも遺体
(朝日)住宅全焼 2遺体 1階の焼け跡からは性別不明のもう1人の遺体
(毎日)放火殺人の疑い 盛岡で2人死亡 焼け跡から別の1人の遺体
(産経)火災の住宅2人死亡 1階の焼け跡から男性とみられる別の遺体
(日経)殺人・放火か 2人死亡 1階の焼け跡からも男性とみられる別の遺体
ということで、新聞はどこも「焼死体」は使っていませんでした。