新・読書日記 2016_086
『イナカ川柳~農作業しなくてよいはウソだった』(TV Bros.編集部、文藝春秋:2016、4、10)
「TV Bros.」(テレビ・ブロス)という雑誌の読者投稿コーナーの作品を集めた物。昔の『宝島』のような感じ。「田舎」をネタにしているのだが、「田舎」というのは、いわゆる「田園風景の広がる自然豊かな所」ではなく「シャッター街と郊外型大型ショッピングセンター=イオン」という、日本のどこにでもある風景になってしまった街を指している。
「何もかも 巨大なイオンが 包み込む」
この「イナカ川柳」は、千葉県船橋市の読者が詠んだもの。こんな感じです。
「プッ」と噴きだした後に、ペーソスや毒を感じるような味わい。しかも「今」を詠み込んでいる。
いくつかご紹介しましょう。
「ボンボンの ドローンが鷹に さらわれる」
「『殺す気か!!』日常会話の 猟友会」
「山近し コンビニだんだん ヤマザキに」
「老人が いつもおんなじ 場所にいる」
ね!じわじわ来るでしょう?
「保険金 大量にかける 人がいる」
そ、それ警察に電話しなくちゃ!
「ラブホテル 潰れた後に ケアハウス」
つまり「少子高齢化」であると。たった17文字で示しちゃうんだからなあ。
写真がまた、とってもキレイでいいんでしょね。この組み合わせがね。
とってもいい、と思います。
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